夢のリフォームプランを建築家が描いてくれました。【LDK編】
撮影・岡本 潔 文・一澤ひらり イラストレーション・大塚泰子
【プラン1】和室とリビングの壁を取り払い、真ん中にアイランド型キッチンを。
建築家・大塚泰子さんが空間アイデアを提案。
階下は父親が経営する工務店。その2階を10年前に改修して、今西千登瀬さんと夫、6歳の息子の家族3人が3DK、約100㎡に暮らす今西家。実は、ちょっと訳あり。
「ここは築50年の家屋でしたが、増改築を重ねてきたんです。2階には祖父が住んでいましたが他界して、10年前に父が賃貸物件にしようとリフォームしたんですね。その後、私が結婚したときまだ空いていたので、格安家賃で住むようになりました。でも暮らし始めると変則的な間取りとか不満が多くて、ずっと引っ越すことばかり考えてきたんです」
と話す今西さん。リフォームでなんとか解決できないだろうかと、建築家の大塚泰子さんに相談することに。大塚さんは狭小空間を心地よく暮らせるように工夫して、数多くの家を手がけてきたその道の専門家。今西さんの期待も高まる。
「どんなところが不満なんですか?」
と大塚さんが訊ねると、
「ドアを開けるとすぐにキッチンがあって、お客様が来ても必ずそこを通らないとリビングへ行けません。あまり見られたくないですよね。リビングがまた日当たりが悪くて、昼間も照明を点けっぱなしなんです」
しかもダイニングテーブルがないためソファ前のテーブルを低くして食卓にし、床に座って食べている。
「風呂場の脱衣所には洗濯機を置くスペースしかなく、トイレに洗面台を置いていますが、簡易的なものなので顔を洗うと床がびしょびしょに濡れてしまうんです」
改善点は山積み。
その話の中でとりわけ大塚さんの関心を引いたのが和室だ。日当たりのいい和室が夫と息子の寝室になっていて、それ以外で使うのは友人が来たときぐらい。
「南側に面していて一番条件のいい和室が使われていないのは、あまりにもったいないですね。全面窓なので視界が広がって明るいし、風も通るし、快適に過ごせる場所ですから」
日中も薄暗く、電灯を点けっぱなしのリビング。
窓を開けると眼前にマンションがあるため、日中でも薄暗い。テーブルを低くして床に座って食事するのも不便。
リビングと隣り合う和室は、天井と床の高さが違う。
和室の押し入れには箪笥や収納ケースを置いていてリビングに張り出している上に、床と天井がリビングより高く段差がある。
入り口にキッチンがあるので、来客の対応にも気をつかう。
常にきれいにしておかなければという強迫観念で、料理に集中できない。家族の気配が感じられず、料理をすることが好きでなくなってしまった。