からだ

Vol.13 骨折をくり返しています。【40歳からのからだ塾WEB版】

文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子
今回は「骨折」をテーマにお送りします。先日、タレントの研ナオコさんが、舞台の公演中に転倒し、右大腿骨頸部(足の付け根)を骨折、長期休養に入るとの報道がありましたね。女性の場合は、閉経直後から骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による骨折が驚くほど増えます。そして、50歳以上の女性では、5人に1人が足の付け根の骨折を起こしているというデータもあるほど。骨折の問題は、他人ごとではありません。これを機会に骨の健康のことを、考えてみませんか。

40代から本気で予防したい骨粗鬆症

骨粗鬆症や骨折は、女性が要注意としたい病気です。 なぜなら、骨粗しょう症の三大要因は、女性ホルモンの低下、加齢、生活習慣の悪癖の積み重ね。なかでも女性ホルモンの低下は避けられないので、いずれ、骨量の急激な減少がやってきてしまうからです(ただし、予防策や治療法はあるのでご安心を)。 骨の専門家でもある婦人科医の太田博明さんによると、閉経後2年間の骨量減少はすさまじく2.7%も減少。閉経後10年間では、骨量が15〜20%も減少してしまうそうです。 骨粗鬆症は、全身の骨がスカスカになる病気ですが、症状らしい症状が出ないために「骨が折れて初めて気づいた」という人も少なくありません。 太田博明さんによれば、骨粗鬆症による骨折は、骨がポキンと折れるような一般的な手足の骨折とは違って、背骨ではわずかな力が加わっただけでグシャッとつぶれてしまう「脆弱性による圧迫骨折」が特徴的です。

50代では手首の骨折、70代からは足の付け根の骨折が増えます

特に折れやすい部分は、(1)手首、(2)背中や腰の骨、(3)足の付け根の骨、(4)上腕の付け根の骨の4ヵ所。 50代で多いのは手首の骨折、60代になると背骨の骨折が徐々に増え、「円背(背中が丸くなる)」という状態になる人も。さらに、72、73歳ごろからは、足の付け根の骨折が徐々に増えていきます。それぞれ、転んで手をつく、荷物を持ち上げる、転んで尻もちをつくといった動作で発生しやすいそうです。50代以上の女性は、3人に1人が背骨を骨折し、5人に1人が足の付け根の骨折を起こしているというデータもあります。 骨量は20代ぐらいでピークとなりますが、若いころから骨折をくり返している人は、もともとの骨貯金が少なく、将来の骨粗鬆症による骨折リスクが他の人よりも大きいとみるべきです。そのほか、やせている体型、母親からの遺伝、生活習慣病などから起こる骨粗鬆症もあります。喫煙者、お酒を飲み過ぎる人も、リスクは高くなります。もちろん、これまで骨折をしたことがない人、健康に自信のある女性でも油断は禁物です。

骨の若さは肌の若さにも関係している!?

一方で、近年の研究により、骨に関する新たな可能性もわかってきました。 例えば、
  • ● 骨密度が高い人ほど肌のハリがあり、見た目年齢も若い
  • ● 骨粗鬆症によって、目の凹みやほうれい線などが目立ち、容貌の老化を招く
  • ● 骨を形成する骨細胞は、免疫システムや脂肪の代謝にも関わっている
などが明らかになってきたのです。 私たちは肌を美しく保つために、せっせとスキンケアを行いますが、実は表面だけでは不充分。内部にある土台である骨の若々しさも保ってこそ、肌のハリなどの若々しさが保たれるし、骨の元気は全身の元気につながるというわけなのですね。骨を大事にしましょう!
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