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『民藝SHOCK!!―没後60年 静嘉堂の河井寛次郎』静嘉堂@丸の内──河井寛次郎が追求した民藝の美の秘密

青野尚子のアート散歩。今回は、河井寛次郎作品全51件が並ぶ展覧会。うち2件が初公開、ほかの49件も揃っての展示は25年ぶりとなる。河井寛次郎は大正・昭和を代表する陶芸家。1925年、柳宗悦らとともに「民藝」の語を提唱、「用の美」を追求する。

文・青野尚子

《紫紅瓜壺》 河井寬次郎 昭和4年(1929)頃 静嘉堂文庫美術館蔵
《紫紅瓜壺》 河井寬次郎 昭和4年(1929)頃 静嘉堂文庫美術館蔵

東洋古美術を中心に、およそ6,500件の収蔵品を擁する〈静嘉堂文庫美術館〉。その中の河井寛次郎作品全51件が並ぶ展覧会が開かれる。うち2件が初公開、ほかの49件も揃っての展示は25年ぶりとなる。

河井寛次郎は大正・昭和を代表する陶芸家。1925年、柳宗悦らとともに「民藝」の語を提唱、「用の美」を追求する。京都を拠点に1966年に没するまで、木彫や金工も含めて旺盛な創作活動を続けた。

〈静嘉堂文庫美術館〉で所蔵する河井寛次郎作品は3期に分けられる彼の作陶のうち、中期にあたる。同じく民藝運動に関わった濱田庄司がイギリスからもたらしたスリップウェアから影響を受けた「流し薬」「流し描」をはじめ、「海鼠釉」など中期を代表する技法による作品が並ぶ。

会場には瀬戸や九州各地の民窯、「李朝」の名で親しまれる朝鮮王朝時代の陶磁器など、柳宗悦らが民藝の美を見出した器なども並ぶ。また寛次郎が活動を始めた大正時代末期は中国大陸に欧米列強が進出、中国に眠っていた宋磁や清朝陶磁などの名品が世界の注目を集めた時期でもあった。この展覧会ではそれら「民藝」の器や東洋陶磁の名品と寛次郎作品との関連も探る。近年の研究で寛次郎は中国の古文献や骨董関連の書籍にも目を通していたことがわかっている。先行する“美”から貪欲に学ぼうとしていた寛次郎の感性が作品にどのように表現されたのかを探ることもできる。

国宝《曜変天目(稲葉天目)》 建窯 南宋時代(12~13世紀)静嘉堂文庫美術館蔵
国宝《曜変天目(稲葉天目)》 建窯 南宋時代(12~13世紀)静嘉堂文庫美術館蔵

『民藝SHOCK!!―没後60年 静嘉堂の河井寛次郎』

《草絵食籠》 河井寬次郎 昭和9年(1934)頃 静嘉堂文庫美術館蔵
《草絵食籠》 河井寬次郎 昭和9年(1934)頃 静嘉堂文庫美術館蔵

9月5日(土)~11月8日(日) 静嘉堂@丸の内

静嘉堂コレクションは岩﨑彌之助と岩﨑小彌太の父子2代にわたって集められた文物が中心。静嘉堂@丸の内がある明治生命館は近代洋風建築の代表作だ。

静嘉堂@丸の内(東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F) TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル) 10時~17時 月曜、9月24日、10月13日休(9月21日、10月12日は開館)入館料一般1,500円ほか
  • 青野尚子 さん (あおの・なおこ)

    アート・建築関係のライター

    著書に『超絶技巧の西洋美術史』(池上英洋さんとの共著、新星出版社)など。

『クロワッサン』1172号より

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