『ジョージアの台所から 旅で出会ったジョージア料理の知られざる魅力』小手森亜紀 著──五十代でジョージアに魅せられた女性の挑戦
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
2020年、緊急事態宣言で外出が難しかった時期、私は旅行会社のオンライン海外ツアーにいくつか参加した。そのなかのひとつがジョージアで、食べ物もワイン(発祥の地である)も、街も自然も非常に惹かれた。その一年前に、実際にジョージアを訪れて、人生を一変させた方がいるとは。
著者は2019年、シルクロードを旅する娘さんに同行するために56歳で会社を辞め、中国から入って各地を訪れ、最終目的地のジョージアで料理に魅了されてこの地の料理を今後の人生のテーマにしようと決意した。パンデミックの後はチャンスがあればジョージアへ赴き、国中をめぐってレストランだけでなく一般家庭でも料理を教わり、東京で料理教室を開いたという。
名物のハチャプリ(チーズのパン)も地域によってさまざまであること、松屋が日本でヒットさせたあのシュクメルリも現地ではそこまで国民食というわけではなさそうなことなど、背景を盛り込みながら料理文化を非常に分かりやすく教えてくれている。代表的な料理のレシピも紹介されるが、これが実に簡潔なのがうれしい。一人の女性の、50代からの冒険と成長の物語としても読みごたえあり。
『クロワッサン』1169号より
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