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【NISA】資産形成の一つの軸となる──50代は”資産運用”の適齢期

50代からの資産運用は、遅いと思っていませんか? 実は適齢期なのだそう。今回はNISAを始めるコツと50代以降の「安定的な投資信託」についてご紹介します。

イラストレーション・竹井晴日 文・西山美紀

【NISAの特徴】

●運用益に対する課税がゼロ。
●必要なときにいつでも引き出せる。
●年額、総額の上限の中なら購入方法や商品、金額設定の自由度が高い。
●銘柄の入れ替えはできず、銘柄を変えるときは新たに購入。

NISAは1800万円上限の資産の“箱”
NISAは1800万円上限の資産の“箱”

50代に入ると、退職後の資金に不安を覚える人も多い。いざ資産運用をしようと思っても遅いのでは……と悩むかもしれないが「50代からは、これからの人生設計を見据えた“資産運用”の適齢期」と話すのが、フィンウェル研究所代表の野尻哲史さんだ。

ここでは、NISAの使い方を解説しよう。そもそもNISAとは、投資で得られた利益に税金がかからない「非課税制度」のこと。通常、投資信託や株式の投資で得た利益には、約20%の税金がかかるが、NISAなら利益をそのまま受け取れる。

「長期で運用することで利益が出やすくなれば、この差は大きくなります。2024年に改正された新しいNISAでは、『つみたて投資枠』と『成長投資枠』を併用できるようになり、年間投資可能額は最大360万円、投資可能総額も1800万円まで広がりました」

「成長投資枠」とは、個別株などより攻めた投資商品でも購入できる枠。だが、我々は投資で大儲けを狙うのではなく、資産を長持ちさせるのが目的。リスクを多く背負うのは得策ではない。

「個別株は値動きが大きくなりやすく、今から投資を始めるなら投資信託のほうがよいでしょう。投資信託はあらかじめ複数の資産に分散投資されているため、その多くが10年といった長期で見ればプラスのリターンを実現してきた過去の実績もある。“長く続けて、途中でやめないこと”で成果につながりやすいはず」

つまり2つの枠は分けて捉えず、最大1800万円入るNISAという箱の中に、安定的な投資信託を投入していく、と考えるのがよさそう。しかし安定的とはいっても、値動きはするもの。できるだけ得をしたい、損はしたくないという心理が働くが……。

「安いときに買って、高く売るのが投資の絶対ルール。でもいつが安値で、いつが高値かなんてわからない。常に値動きを見ているわけにもいかないので、『一定額でコツコツと買い続ける』『取り崩すときは率を決めて引き出す』が基本です

例えば毎月5万円分を買っていけば、値上がりしているときは少しだけ買うことになり、値下がりしているときはたくさん買うため、結果として平均購入単価がならされる。さらに売るときは、「定率」にすることで、高くなったときは多く、安くなったときは少なく引き出すことが自動でできる。

「値段の上がり下がりに一喜一憂せずに自分のペースで続けることが、結果としてリスクを抑え、安定した資産形成につながります。非課税というメリットを生かしながら、無理なくNISAを活用しましょう」

NISAの買い方・取り崩し方の原則

【NISA】資産形成の一つの軸となる──50代は”資産運用”の適齢期
定額積み立てのカラクリとは 毎月バナナを100円分買うと決める。3本買えるときもあれば、1本しか買え…

定額積み立てのカラクリとは

毎月バナナを100円分買うと決める。3本買えるときもあれば、1本しか買えないときもあるが、高いときは買い過ぎを防げ、安いときにたくさん買うため、単価をならすことができる。

定率取り崩しがなぜいいのか? 定率で取り崩していくと、価格下落で資産が少なくなったときには取り崩し額…

定率取り崩しがなぜいいのか?

定率で取り崩していくと、価格下落で資産が少なくなったときには取り崩し額が少なくなり、増えたときには取り崩し額を増やすことで、資産の残高を安定させやすくなる。

口座の作り方

NISA口座は一人一つ。証券会社や銀行で作れ、ネット証券ならスマホで完結。

[ウェルスナビ]資産運用アプリという手も。ウェルスナビは、NISA口座の開設も可能で、ネット上の簡単な質問に答えるだけでロボアドバイザー(AI)が資産配分を提案し、運用まで全自動で行う

50代以降にとっての「安定的な投資信託」とはなにか

「オルカンを買えばOK」とそこかしこで聞きますが……。

NISAといえば「“オルカン”(全世界株式)を買っておけば大丈夫」といった声は多く、実際に世界中の株へ分散投資できる点では、合理的な選択肢の一つではある。ただし、50代以降は別の視点も必要になる。オルカンは“株式”のみのパッケージなので、投資信託全体で見れば値動きが大きい商品。投資のリスクを下げる〈長期・分散・積立〉の3条件のうち、50代以降は若い人よりも時間が限られるために、〈長期〉と〈積立〉が揺らぐ。せめて〈分散〉をきちんと行うことは重要だ。ではほかにはどんな商品があるのか。

よく聞く「オルカン」とは?

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)。通称“オルカン”とは、世界中の株式にまとめて投資できる投資信託の代表格。「分散されていても、すべて株式に投資しているため、リスクがあることを忘れないでください」

【NISA】資産形成の一つの軸となる──50代は”資産運用”の適齢期

「投資信託の中には、株式だけでなく国内外の債券なども組み合わせていくバランス型と呼ばれるファンドもあります」

バランス型の中にはあらかじめ資産配分が固定されているものから、値動きに合わせてアクティブに売り買いするものなどその特徴も多様。リターンはやや抑えられるが、私たちは資産全体で年率3%程度を目指せればいいはず。

「とにかくたくさんの商品がありますが、手数料もさまざまですし、取り崩すときに大変なので1つ、2つ、自分が納得できるものを選びましょう」

定率引き出しのためには、資産自体のリスクを抑えたい

投資信託とは、いわば詰め合わせセット。国内外の株式、債券、金や原油といった商品、不動産などに少額から分散投資できる。投資先の内容やバランスの違いで多様な種類が
投資信託とは、いわば詰め合わせセット。国内外の株式、債券、金や原油といった商品、不動産などに少額から分散投資できる。投資先の内容やバランスの違いで多様な種類が

そしてやはり50代は、退職後のことや取り崩すときのことも念頭に入れて運用すべきだと続ける。

「2000万円の資産を4%ずつ取り崩す予定を立てても、株価の下落などで資産が半分に減ってしまえば、家計に大打撃です。だから資産全体の変動を抑える工夫が必要。退職後の投資と預金のベストバランスはどのくらいか、という質問もよく受けますが、私は、年金以外に必要となる資産収入の向こう10年分は預金など安定的な資産で持つなども、リスクを管理する上で有効な考え方だと思います」

そして理想的な資産バランスも退職後に軸をおくべきという。

「50代なら退職時点で、退職金はあるのか、住宅ローンはどうなっているのかなど、ある程度予測が立てられます。それを考慮し、現在の資産配分を考えておきましょう。退職金を受け取ったときに、どれくらい住宅ローン返済に使い、手元にどれくらい残るかが分かれば、保有資産全体でどんな配分になるかを想像することもできます」

65歳の時点での資産、どちらがあなたの理想?

[ポートフォリオ1]
[ポートフォリオ1]
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債券を安定的な資産、株を変動のある資産と仮定したとき、あなたは退職後の自分の資産をどのように作りたいでしょうか?

  • 野尻哲史

    野尻哲史 さん (のじり・さとし)

    フィンウェル研究所代表

    国内外の証券会社や投信会社等を経て、2019年5月、定年を機に同研究所を設立。著書に『100歳まで生きても資産を枯渇させない方法』(幻冬舎新書)など。

『クロワッサン』1165号より

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