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『盾と矛』方丈貴恵 著──ミステリ好きなら垂涎もの盾矛対決

文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。

文・瀧井朝世

『盾と矛』 方丈貴恵 著 KADOKAWA 2,090円
『盾と矛』 方丈貴恵 著 KADOKAWA 2,090円

「絶対に逃さない探偵」vs「必ず無罪にする仕事人」と聞いて、ミステリ好きならときめかないはずがない。しかも著者が毎作緻密なロジックで魅了する方丈貴恵なのだからなおさらだ。

海外で詐欺にあい犯罪組織の下で働かされ、8年を経てようやく帰国した霧島。彼に声をかけたのが、中学時代の同級生で探偵業を営む草津だ。事故で車椅子生活となった彼は、助手を必要としているという。頭脳明晰な草津と、体力自慢の霧島のタッグの誕生だ。

第一章では別荘地で密室殺人事件が発生、霧島が情報を集めて事務所に戻ると、草津はたちどころに犯人を言い当てる。その矢先、重要な証拠が現地の倒木によって破損、草津の推理が立証できなくなる。じつはそれ、ヒミコの仕業。報酬次第で証拠の隠滅や捏造を請け負うのが彼女の仕事だ。

事件自体が風変りなうえ、探偵も仕事人もやることがぶっとんでいてワクワクさせる大活劇。事件発生→草津の名推理→ヒミコの妨害→霧島の暗躍→さらなる攻防というパターンでシリーズ化だなと思ったら、第三章でとんでもない出来事が。思わず声が出た。一番ぶっとんでいるのは、こんな怪作を書き上げる方丈さんです、はい。

  • 瀧井朝世 さん (たきい・あさよ)

    ライター

    著書に『ほんのよもやま話〜作家対談集〜』『偏愛読書トライアングル』など。

『クロワッサン』1168号より

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