日本一の鱧の生産地として知られる淡路島。極上の鱧づくしを堪能し、島の夏の味覚を楽しむ旅へ
写真・文 斎藤理子
淡路島西海岸にある《洗心和方(せんしんわほう)》は、和モダンウェルネスステイをうたう、美食と温泉を楽しめる宿。こちらのレストランにて期間限定で提供される、淡路島産鱧の鱧づくしコース《夏の味覚!淡路島産鱧尽し会席》は、夏の淡路島でしか味わえない贅沢な体験。その美味しさと、淡路島の魅力をご紹介します。
新幹線の新神戸駅から車で約40分。明石海峡大橋を渡り、淡路島の西海岸を南下した海岸沿いに和モダン温泉宿《洗心和方》はあります。もともとは、現存する世界最古の建築会社で1400年以上に渡り寺社仏閣の建築や修復を手掛けている“金剛組(こんごうぐみ)”が施工した宿泊施設でしたが、パソナグループが経営を継承しリニューアル。和モダンとウェルネスをコンセプトに昨年7月にオープンしました。〈洗心〉とは、心を清め内面を磨き、より良い自分へと向かうこと。〈和方〉とは、日本古来の叡智が生んだ日本の自然療法。この宿の名前《洗心和方》は、この2つの言葉が由来になっています。
入り口の門や回廊の施工を担ったのは、寺社建築の名匠、奈良の“鵤工舎(いかるがこうしゃ)”。宮大工の伝統と技が随所に生かされた門や回廊は、非常に美しく落ち着きがあり、凛とした空気が漂います。入り口を彩る本格日本庭園は、大徳寺芳春院をはじめ数々の名園を造り出してきた京都の“独歩園(どっぽえん)”によるもの。吉野川の吉野石、高野山周辺の石、貴船の貴船石など、京都の庭園に詳しければ一目でわかる名石を配した枯山水風の庭園が、四季折々の美しさを見せてくれます。
天井が高く開放感にあふれている《洗心和方》のロビーエリアは、見事な組子のパーティションが印象的。その奥にある、日本画が目を惹くバーラウンジも落ち着きます。趣も雰囲気も最高な空間には、著名作家たちの芸術作品が随所に散りばめられ、アートギャラリーのようでもあります。
“金剛組”が造ったもともとの建築やディテールをなるべく生かしつつ、そこに最新テクノロジーを組み入れてリフレッシュされた宿となった《洗心和方》。現代のホテルに寺社建築の伝統が融合したこの宿には、落ち着きとくつろぎがある上質な滞在が約束されていることがわかります。
お待ちかねの鱧づくしは、レストランの〈和方〉でいただきます。京都の一流料亭や割烹で使われる淡路島の鱧は日本一の味。伝統的な延縄漁法で1尾1尾を丁寧に釣り上げるので魚体に傷がつきにくく、艶やかな金色を帯びたその姿から、〈べっぴん鱧〉や〈黄金鱧〉とも呼ばれています。
その中でも、南あわじ市の沖合に浮かぶ、栄養が極めて豊富な沼島(ぬしま)近海で取れる鱧は最高級品。程よく脂がのり、皮は薄く、きめ細やかでふっくらと柔らかな食感と上品な甘みが特徴です。
その日の朝獲れた沼島の鱧を、熟練の技で丁寧に骨切り。前菜3種やお椀、湯引きに炭火焼き、そして鱧鍋と、料理に合わせた多彩な味付けと調理方法で飽きることなく最後まで楽しむことができます。
鰹出汁に焼き鱧の骨でとる出汁を合わせ、深くコクのある滋味に仕立てたお椀。じっくりと香ばしく焼き上げた炭火焼きは白焼とタレ焼きどちらも甲乙つけ難い美味しさ。湯引きの鱧を噛み締めた時に口中に広がる旨みの素晴らしさは言うまでもありません。
骨切りした生の鱧を出汁にくぐらせて食べるメインの鱧鍋は、淡路島名産の玉ねぎとレタスと共に。「鱧に玉ねぎ? 鱧にレタス?」と最初はちょっと戸惑いますが、食べてみて納得。玉ねぎのほのかな甘みやレタスのシャキシャキ感がベストマッチで、この組み合わせが大正解なことに感動します。鍋の締めがそうめんなのも淡路島流。これがまた鱧の出汁が濃縮した汁とよく合い、お腹がいっぱいなはずなのに止まらない美味しさです。
細かい骨がびっしりとある鱧は、骨切りすることで滑らかな食感に生まれ変わります。骨切りは鱧の命ですが、料理長による見事な骨切りをオープンキッチンで見ることができるのも楽しみのひとつ。シャリッシャリッというリズミカルな音と共に、正確かつ確実に骨切りされていく鱧に、期待が高まります。
オープンキッチンにはおくどさん(竈/かまど)もあり、ここで炊かれる夕食の鱧炊き込みご飯や朝食の白飯は、何杯でもおかわりしたくなる美味しさです。
ゲストルームは全20室。すべて、オーシャンフロントで、日本の夕日100選にも選ばれた播磨灘に沈む息を呑むような夕日が各部屋から眺められます。部屋は、天然温泉露天風呂付きの広々とした離れが3部屋、展望露天風呂付和室のデラックスルームが3部屋、洋室のスタンダードルームが6部屋、和室のスーペリアルームが8部屋。どの部屋も高い天井と洗練された調度品があり、くつろぎの空間を生み出しています。
大浴場は、源泉掛け流しの温泉。オーシャンビューの露天風呂からも、播磨灘に沈む夕日が眺められます。夕日を眺めながら肌あたりの良い温泉につかるひとときはこの上ないリラクゼーション。心身ともにゆっくりとほぐれていくのがわかります。
《洗心和方》での素晴らしい鱧づくしと心地よい滞在を堪能した翌日は、淡路島西海岸にあるグループ施設訪問がおすすめ。
必ず訪れたいのは、《禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)》という、禅の思想を取り入れたリトリート施設。《洗心和方》からほど近い山の中にあるこの施設は、建築界最高栄誉のプリツカー賞を受賞した建築家坂茂氏によるもの。山奥に突如として姿を見せる、日本杉を組み合わせて作られた全長100メートルのウッドデッキが非常に神秘的で圧巻です。
淡路島は、日本標準子午線(東経135度)線が通過するパワースポットとしても有名ですが、《禅坊 靖寧》はまさに東経135度上に建てられています。大自然の中で、瞑想やヨガを体験し、日頃のストレスをデトックスするには最適な場所です。
《洗心和方》から訪れるなら、日帰りプラン4時間のコースがお手頃。瞑想、ヨガ、禅坊料理、ZEN書、ZEN茶を取り入れたデトックス&リトリートを楽しめるプランです。大自然を感じながら、澄み切った空気の中で静かに心を落ち着けるひとときは、他にはない貴重な体験になるはず。
《禅坊 靖寧》の料理は、発酵醸造料理人の伏木暢顕シェフ監修。地元食材を中心に使い、動物性の食材、小麦粉、油、上砂糖は使用しない、体への負担が少ない優しい料理が楽しめます。
淡路島西海岸には、海に面した素敵なレストランがたくさんあります。《洗心和方》での素敵な滞在を堪能した翌日のランチにも困ることがありません。
まずおすすめなのは、蕎麦割烹の店《Oh-SOBAR(オーソバー)》。播磨灘を一望する店内は、どの席もオーシャンビューで、美しい海を眺めながらの食事を楽しむことができます。空間デザインは、世界で活躍する巨匠の森田恭通氏。洗練されたスタイリッシュな空間で、海を眺めながら蕎麦をいただくという異次元の体験ができます。
蕎麦は、二八蕎麦と月替わりの変わり蕎麦があり、盛り合わせで登場します。淡路島の旬食材をいろいろと楽しみたいなら、ぜひ蕎麦会席コース(6,800円、8,800円)や蕎麦御膳(2,500円、4,500円)を。夜はバーとしても使って欲しいので、この店名になったそうです。
《洗心和方》で鱧を堪能したけれど、もっともっと淡路島の鱧が食べたいという人は、同じく西海岸にある《青の舎(あおのや)》へ。和洋2つのレストランと古酒専門店、劇場までもを併設した施設《青海波(せいかいは)》の中にある、寿司と和食の店です。
劇場のような階段型の客席が特徴で、どの席からも眼前に広がる海とオープンキッチンが見られる、ユニークな造りになっています。ここでは、6月1日から10月31日までの間、「鱧づくし御膳」を提供。淡路島由良港でその日に水揚げされた天然鱧を使い、湯引きや鱧寿司、天ぷら、鍋などが味わえる御膳になっています。
ランチは手軽にピザやパスタで、というなら《ミエレ》は外せません。“海まで1メートル”という抜群のロケーションで絶対に食べたいのが、淡路島産しらすがボウル1杯かけ放題のしらすピザ。ストップと言うまでしらすをかけ続けてくれるので、しらす好きにはたまりません。淡路島はしらすの名産地でもあるので、その美味しさを味わいつくすには最適です。
店名のミエレは、イタリア語で「はちみつ」という意味。その名前の通り、淡路島産のオーガニックはちみつを使ったスイーツやドリンクも充実しているので、カフェとしての利用にも便利。帰る前には淡路産はちみつが豊富に揃っている1階のショップのチェックも必須です。
洗心和方
兵庫県淡路市野島蟇浦150
0799-64-9800
チェックイン15:00〜、チェックアウト11:00
全20室(標準和室8部屋、洋室6部屋、特別客室展望風呂付き3部屋、離れ・温泉露天風呂付き3部屋)
7万180円〜(大人2名1泊2食付き、税サ込み、入浴税150円)
https://senshinwaho.com/
*「淡路島産鱧コースプラン」は6月1日(月)〜8月31日
禅坊 靖寧
兵庫県淡路市楠本字場中2594-5
0799-70-9087
https://zenbo-seinei.com/
*プラン内容はHP参照
Oh-SOBAR
兵庫県淡路市野島轟木字砂川269-2
050-3821-2229
11:00〜14:30LO、17:00〜19:30LO
水曜休み
https://oh-sobar.com
青の舎
兵庫県淡路市野島大川70 青海波内
0799-70-9109
11:00〜14:00最終入店、17:00〜19:30最終入店
木曜休み
https://awaji-seikaiha.com/aonoya/
ミエレ
兵庫県淡路市野島蟇浦785-9
0799-80-2600
10:30〜18:30LO(土日祝10:00〜18:30LO)
木曜休み(祝日の場合は営業)
https://miele-da-scuola.com
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