お金との向き合い方、価値観をアップデートする“金言”集
イラストレーション・えだようこ
「500円の牛丼と5万円のフレンチのコストパフォーマンスを比べても意味がない。価値の感じ方には歪みがある」
行動経済学「プロスペクト理論」より
発表者がノーベル経済学賞を受賞した「プロスペクト理論」では「感応度逓減性」という考え方があり、扱う金額が大きくなるほど、損得など含めて価値の感覚が鈍くなるという。「例えば牛丼500円に比べて、5万円のフレンチはコストパフォーマンスが悪いという人がいるが、そもそも金額と価値は比例しないためそれは当然のこと。コスパを求めることが人生を豊かにするとは限らない」。一方で、キャベツが100円値上がりすることには敏感な人も、車を買う時は1万円のオプションをやすやすとつけてしまったりする。「こういった行動経済学を利用した商法は世の中にたくさんあるので、知っておくと冷静な判断ができるかも」(50代・男性)
「無料は罪」
ゲームに課金する同僚の言葉
「無料でも遊べるアプリゲームに毎月課金している同僚に『お金がもったいないよ』と伝えると、『楽しませてもらっているのに1円も払わないのは、罪なこと。ゲーム開発のクリエイターにお金を払いたいんだ』という答えが。価値を享受しているものには対価を払うという姿勢は、学ぶものがあると感じ、以来、自分も本はセールで買わない、製作者が手数料をとられないようにできるだけ直販サイトで買うなど、誰にお金を払うかを意識するように」(50代・男性)
「お金から楽しみを引き出す能力は、年齢とともに低下する」
ビル・パーキンス 著『DIE WITH ZERO』より
「資産を使い切って死ぬ」ことをテーマにしたベストセラーより。「最近は旅行やライブなど体を使う娯楽は避けがちで、行ったとしても20代ほど楽しめないと感じるようになり、この言葉を思い出しました。これからもっと楽しむ力が減ってしまうかもしれないと思うと、不安がって備えることばかり考えず、少しでも若いうちに『今楽しめること』『今やりたいこと』をやろうと思います」(50代・女性)
「60歳からのほうが楽しく働ける。なぜなら、『雇われる働き方』を卒業するから」
河野純子 著『60歳の迎え方』より
人生100年時代にどんな価値転換が必要なのか、提言を行う「ライフシフト・ジャパン」の河野純子さんの著書より。「長生きに備えるためにはお金が必要で、だからずっと働き続けないといけない、と思うと不安が募り、長生きをリスクにすら感じていました。けれど、60代からはお金をたくさん稼ぐことが仕事の目的ではないと思えたことで、小さい仕事を重ねていこうと前向きに」(50代・女性)
「お金は循環するエネルギー」
フェアトレードについて学んだ時に見た言葉
「どこかでお金は穢れたもの、と感じていました。けれど、自分が使うお金のその先を意識すると、フェアトレードの商品が作り手の生活を支えるとか、有機野菜を買うことが土や水を守ることになるなど、お金がまわりまわって自分を豊かにすることにもつながる。今ではお金は大切にしたいものを選ぶための道具だと感じています」(60代・女性)
「物に家賃を払うな」
ミニマリストの著書より
「これまでは、物を買う時に『代金』を払えば終わりだと思っていました。でも、その物を置くための『場所代』を家賃として払い続けていることに気がつき、『物を持つこと』は『コストを払い続けること』と同じだとハッとしたのです。溜め込んでいた大量のストックに今までいくら払っていたのか計算し、一気に捨てました。今では一時的な支出だけでなく、心理的な負担、時間、労力なども含めて“コスト”を計算するように」(50代・女性)
「お金は、嫌な気持ちで使わないほうがいい」
どこかで見聞きしたこんなニュアンスの言葉
「お金が減るのは、誰でも少し嫌な気持ちになるものだと思います。でも、自分が本当に欲しいもの、人生をよくしてくれるものにお金を使う時は、迷わず気持ちよく払えるもの。この言葉には続きがあり、『お金は楽しい気持ちで、納得して使うと、また戻ってきてくれる』そう。税金など、最も仕方がない時ですら、『気持ちよく使えるか』を大切にし、さっさと払ってスッキリすることにしています」(50代・女性)
「物や財産は失うことがあっても、得た知識や経験は誰にも奪われない」
哲学書より
「心や体が喜ぶこと、生活が整うことに使うお金は、ただの出費ではなく、自分を支えるためのものだと思います。例えば私は、本を買う時は、ほかのものを買う時とは違う満たされる感覚があります。たとえ“積ん読”でも、いつでもその世界の入り口が身近にあると思える。未知の世界を知る体験であり、本から得たものは自分の血肉になる。人生の中で一番大切なのは、結局、お金ではなくてそういうことだと思います」(60代・女性)
「お父さんが2回飲むのを我慢すればすぐに買えるのにね」
子どもと行った、自転車店で言われた嫌味
「子どもが小さかった頃。パンク修理のために自転車屋さんに行くと、アニメの絵柄の自転車が欲しいと子どもが駄々をこねました。渋っているとお店の人からこの一言。少し鼻白んだ気持ちになりましたが、彼女の言うことは正しくて、自分がお酒を飲むお金で家族に買ってあげられるものはたくさんあるんだろうなと。後日、結局その自転車を買いました」(60代・男性)
「運用はゴルフと同じ」
資産運用を研究する学者の言葉
預金だけだと不安な時代。しかし、運用をしたことがない人からすると変動はやはり怖いもの。「そういう時はゴルフを思い出してください。たとえ途中でOBして森に入っても、バンカーに入っても、最終的にグリーンに乗せればいい。完璧にスコアにこだわりすぎないことも大切です」(60代・男性)
「なぜ人生ゲームでは、10億円で宇宙旅行に行った人が負けなんだろう?」
ファイナンシャルプランナーに言われてハッとした言葉
「人生ゲームでは終盤に大きな出費のマスが連続しがちで、中には『家が燃えて10億円払う』という不運もあれば、『宇宙旅行へ行くので10億円払う』という楽しそうなマスもあるのに、ゲーム上では同じ『10億の損失』という扱いで、負けたりもする。でも、宇宙旅行に行くなんて素晴らしい経験ですよね。資産の金額で人生の勝敗を決めるのはナンセンスです」(50代・女性)
『クロワッサン』1165号より
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