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パワースポット? テーマパーク? 江戸文化研究家・滝口正哉さんとコラムニスト・辛酸なめ子さんが訪ねる「武士や町人が親しんだ神社とお寺」

いざという時にお参りする神社やお寺は江戸の人々にはどんな存在だった? 人気の社寺を実際に訪れ透かし見えたのは、嗚呼、花のお江戸の景色かな。

撮影・青木和義 イラストレーション・辛酸なめ子 構成&文・堀越和幸

パワースポット? テーマパーク? 江戸文化研究家・滝口正哉さんとコラムニスト・辛酸なめ子さんが訪ねる「武士や町人が親しんだ神社とお寺」

慶事や弔事や祭りごとの際に、私たちが神社仏閣のお力にあずかろうとする気持ちは今も昔も変わらない。が、江戸時代の人々にとって、それらはさらに身近な存在であったよう。その事実を究明すべく、今回、江戸文化研究家の滝口正哉さんとコラムニスト・辛酸なめ子さんは、江戸の代表的な社寺を訪ねることになった。

「辛酸さんにとって神社仏閣はどんな場所ですか?」(滝口さん)

「まずは願掛けをするパワースポットだと思います」(辛酸さん)

「そうですよね。それに加えて、江戸時代には娯楽要素がありました」

「娯楽ですか?」

例えばお伊勢参りに見るように、昔は神社仏閣に行くのが一つのレジャーだった。社寺では宝物のご開帳や富くじの抽選、あるいは場所によっては勧進相撲などのイベントが盛んに行われた。人々が集うと、門前には露店や見世物小屋が立ち、まるで縁日のようになった。

江戸のガイド本の一つ『願懸重宝記(がんけんちょうほうき)』。各社寺のご利益が記されていて、今回二人が回る高尾稲荷神社の記述も冒頭に紹介されている
江戸のガイド本の一つ『願懸重宝記(がんけんちょうほうき)』。各社寺のご利益が記されていて、今回二人が回る高尾稲荷神社の記述も冒頭に紹介されている

「お寺や神社などの茶屋ではお見合いも行われたそうです」(滝口さん)

「わあ、出会いの場でもあったんですね!」(辛酸さん)

「はい。なので、江戸時代にはたくさんの今で言うところのガイドブックが出版されましたが(左写真参照)、たいがいは寺と神社の案内本で、江戸っ子にとってはそれだけ身近な存在だったんです」

「お寺さんと神社の使い分けはなかったんですか?」

「当時は神仏習合(しんぶつしゅうごう)の時代なので、同じ敷地に両方が存在するというのは珍しいことではありませんでした」

とガイダンスをしてくれた滝口さんが選んだ5つの神社とお寺。それぞれの歴史を紐解きながら、江戸っ子に愛された理由を見ていこう。

訪れたのはここ! 東京×江戸の五社寺のマップ

パワースポット? テーマパーク? 江戸文化研究家・滝口正哉さんとコラムニスト・辛酸なめ子さんが訪ねる「武士や町人が親しんだ神社とお寺」

1. 日枝神社(永田町)──江戸城と同じ敷地にあった各式高い神社
2. 東叡山 寛永寺(上野)──関西でなくともここがある、江戸っ子の娯楽
3. 源覚寺(小石川)──庶民の願いを叶えてくれる優しい閻魔さま
4. 回向院(両国)──昔も今も鼠小僧の墓が人気の理由は?
5. 高尾稲荷神社(箱崎)──恋に殉じた悲劇の花魁にはたくさんの願いが

  • 辛酸なめ子

    辛酸なめ子 さん (しんさん・なめこ)

    コラムニスト、漫画家

    独自の感性であらゆるジャンルの事象をフィールドワーク。近刊には『江戸時代のオタクファイル』(淡交社)がある。

  • 滝口正哉

    滝口正哉 さん (たきぐち・まさや)

    江戸文化研究家

    江戸文化に関わる多くの著作、論文を著し、セミナーなどでも活躍中。著書に『江戸の祭礼と寺社文化』(同成社)などが。

『クロワッサン』1145号より

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