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夏太りの原因は水の摂り方にあり!? 国際中医薬膳師に聞く、正しい飲み物の飲み方Q&A。

水分の摂り方は、実は食事と同じくらいダイエットの鍵になる。正しい飲み方を紹介します。

撮影・青木和義 イラストレーション・白尾可奈子 スタイリング・中里真理子 文・嶌 陽子

暑くなればなるほど、水分を摂る頻度も増えてくるもの。確かに熱中症予防のためにも、水分を適切に摂ることは大切だ。ただし、何をどれくらい、どうやって飲むかは、実は夏太りと深く関わっている、と国際中医薬膳師の瀬戸佳子さんは話す。

「東洋医学では、夏太り=水太りが多いと考えられています。体内で水がうまく巡らず、滞ってしまうことが、むくみにつながるのです」

瀬戸さんによれば、東洋医学において水が巡らない原因は2つある。一つは体に余分な水分が溜まりすぎて滞ってしまっている「水滞」、もう一つは体内の水を巡らすエネルギーが不足している「気虚」だ。下のリストを参考にして、自分にはどの傾向が強いかをチェックしてみよう。

「水滞と気虚のどちらも夏太りだけでなく、夏バテや熱中症の原因にもなりがちです。するとますますだるくなって体を動かさなくなり、さらに太るという悪循環に陥ってしまいます。まずは体質を改善して、水分代謝をよくすることが大切です」

そのための鍵となるのが、水分の摂り方。適切な方法を知って、効率よくダイエットを成功させよう。

夏太りの原因はこの2つ。

[水滞(すいたい)]

余分なものが溜まり、飲めば飲むほど太る。

体の中の余分な水分が多すぎて滞っている状態。どんよりとした重だるさを感じることが多く、夏でも汗をかきにくい。水を飲めば飲むほど太るほか、少し食べただけですぐに太る。ぽっちゃり体形の人が多く、甘いものや冷たいもの、脂っこいものや乳製品が好きで普段からよく摂りがち。現代ではこのタイプの人が多い。

●あなたの水滞度をチェック! □ 体や頭がどんより重い □ 汗が出にくい □ 夜より朝のほうがむくむ…

●あなたの水滞度をチェック!

□ 体や頭がどんより重い

□ 汗が出にくい

□ 夜より朝のほうがむくむ

□ さほど食べていないのに太る

□ 甘いものや冷たいものが好き

□ 口の中が粘る

□ 舌の表面が汚い(白、黄、黒色など)

[気虚(ききょ)]

エネルギー不足で部分的にむくみがち。

体内の水を巡らせるだけのパワーが足りていない状態。疲労感が強く、少し動いただけでぐったりして汗が出る。このタイプの人はエネルギー不足のため、食事制限をすると水を巡らせる力がますます不足してむくむことに。痩せ型の人が多いが、足や顔などが部分的にむくんだり、疲れると急に体重が増えることも。

●あなたの水滞度をチェック! □ ぐったりとして疲労感が強い □ ちょっと動いただけで汗が出る □ …

●あなたの水滞度をチェック!

□ ぐったりとして疲労感が強い

□ ちょっと動いただけで汗が出る

□ 朝より夜のほうがむくむ

□ 食欲がなく、食事量が少ない

□ 野菜や果物ばかり食べている

□ 足や顔など部分的に太りやすい

□ 舌のふちに歯形がつく

 ↓

\2つの体質を 改善するためには、 胃腸の働きを 整えることが大切。/

「水滞」と「気虚」、どちらの不調も胃腸の働きと大きく関係している。

「水滞の人は冷たいものや甘いもの、脂っこいものなどの摂りすぎで胃腸が疲れているため、いかに胃腸を労るかが重要になってきます。また気虚の改善に必要な、水を巡らすエネルギーの元も実は胃で作られるもの。つまり、胃腸をきちんと機能させることが、両方の体質改善のポイントになるのです」

体の中で水が滞ってしまう原因のひとつは、食物が充分に消化されず、水分がきちんと体外に排出されないから。胃腸の調子を整えれば自然と巡りがよくなり、むくみも解消されていく。次ページから紹介する胃腸を労る飲み方を実践して、元気に夏を乗り切ろう。

夏太りの原因は水の摂り方にあり!?  国際中医薬膳師に聞く、正しい飲み物の飲み方Q&A。

夏太りを防ぐ飲み方Q&A。

夏太りの原因は水の摂り方にあり!?  国際中医薬膳師に聞く、正しい飲み物の飲み方Q&A。

Q.水分補給におすすめの飲み物は?

A.常温以上の水がベスト。巡りにいい穀物茶も。

一番いいのは白湯か常温の水。ほかには黒豆茶、小豆茶、コーン茶、ハトムギ茶などの穀物茶が巡りをよくして水分を排出してくれる。冷たいものは胃腸に負担がかかって代謝が下がり、むくみの原因になるため基本はNG。氷入りの飲み物は暑い屋外にいるときだけにとどめよう。特に気虚の人は冷えに弱いので要注意。たとえばお茶を多めに作った場合も冷蔵庫で冷やさず常温に置き、冷ましながら飲むといい。カフェインは胃腸の負担となり、利尿作用によって体内の水分量を減らすことにもなる。コーヒーや緑茶などは水分でなく、嗜好品としてとらえて。

Q.1日にどれくらいの水分を摂ればいい?

A.適量は人によってさまざま。こまめに飲んで。

よく「1日に2L」と聞くが、ベストな量は人によってさまざま。特に水滞の人は水分を摂りすぎのことも多いので要注意。尿の色が適切な量を摂れているかの目安の一つになる。淡い黄色が正常といわれ、色が濃いのは水分不足、薄いのは水分過多のサインだ。また、こまめに少しずつ飲むことも大切。おすすめは1回につきコップ1杯くらい。350〜500mlの缶やペットボトルを一気に飲むのは胃腸の負担になる。コップに少しずつ注ぎながら飲むようにしよう。

Q.正しい水分補給のタイミングは?

A.基本は喉が渇く前に。食事中は飲みすぎない。

喉の渇きを覚えてからだと遅いので、こまめに飲むことが大切。起床時、外出前、入浴前、寝る前などは特に意識したい。ただし疲れているときや湿気が多い日など、体内の水を巡らせる力が落ちているときは、むくみの原因となる冷たいものや甘いものを摂らないように気をつけよう。また、食前食後や食事中に水分を摂りすぎると胃酸が薄まり、消化不良に。これがむくみの原因になりかねない。食事中の水分は汁物で摂るくらいで充分、と考えて。

Q.どうしても冷たいものや甘いものを飲みたいときは?

A.ゆっくり飲んだり、甘酒や果物を活用して。

熱は体の上のほうにいくもの。冷たいものは口が求めているのであり、胃腸ではない。そのため、一口ずつゆっくり飲んでお腹にすぐ届かないようにしたい。ペットボトルで首や頭を冷やすのも、冷たいものへの欲求を落ち着かせてくれる。常温以上の水をすぐには習慣にしづらい場合は、氷の量を半分に減らすなど、少しずつ慣れていくのも手だ。甘いものは代謝を下げるので1日1杯までに。特に水滞の人は注意しよう。砂糖の代わりに甘酒や果物を使った飲み物は、1日2〜3杯までならOK。

  • 瀬戸佳子

    瀬戸佳子 さん (せと・よしこ)

    国際中医薬膳師

    東京・青山「源保堂鍼灸院」で東洋医学に基づいた食養生のアドバイスを行う。著書に『気血スープ』『季節の不調が必ずラク~になる本』など。

『クロワッサン』1121号より

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