選び方、味わい方、保存法…いま改めて学びたい、ワイン入門。
撮影・森山祐子 イラストレーション・マエダユウキ 文・辻さゆり
Q1.ワインならではの魅力とは?
ワインは産地や気候風土によって、違う味や香りを楽しめるのが大きな魅力です。また、種類にもよりますが、時間をかけて保存することで品質が向上し、価値が上がるというおもしろいお酒でもあります。特に楽しんでほしいのが、その香りです。開栓した瞬間からどんどん変化していくので、その過程もぜひ体感してほしいですね。
ラベルも個性的なデザインが多いので、インテリアとして飾るといった楽しみ方もできます。気に入ったラベルを見つけたら“ジャケ買い”してみるのもおもしろいですよ。
Q2.ワインにはどんな味わいがありますか?
ワインの原料であるブドウの品種や産地、製造方法によって味わいは変わります。わかりやすいのが品種で、リンゴもふじや紅玉など品種によって味が違うように、ワインの味もブドウの品種によって変わります。
下は品種による味の違いを表したチャートで、赤ワインは「渋味」を、白ワインは「酸味」をポイントにしています。ワインを選ぶ際の参考にしてみてください。
最近は、コンビニでも手軽に買えて品質が良いものが並ぶようになりました。異なる品種のワインを何本か買って、自分好みの品種を探してみるのも手です。その上で、ワインショップの専門スタッフに気に入った品種を伝えて相談すれば、好みの味の幅がさらに広がっていくと思いますよ。
Q3.好みのワインをどう伝えればいいですか?
よく「飲みやすいワインをください」と言われることがありますが、「飲みやすさ」の定義は人によって違うので、ソムリエとしては困る言葉です。
特に専門的な用語を使う必要はなく、赤ワインなら「重い/中くらい/軽い」、白ワインなら「辛口/やや甘口」という一言があれば、選びやすくなります。
ライムやグレープフルーツ、イチゴやカシスなどイメージしているフルーツの名前を出したり、「樽の効いた白ありますか?」といった言い方も伝わります。好みのラベルの写真を撮っておいて、見せるのもいいですね。
Q4.ワインのおいしい味わい方は?
ワインはグラスによって驚くほど味や香りが変わります。赤白を問わず、どのワインにも使えるグラスを一つ持つなら、液体が空気に触れる面積が大きいことから香りが引き立つバルーン型。
また、繊細な口当たりを楽しめる薄型の、唇に無理なく沿う飲み口のものがおすすめです。材質は、ソーダガラスよりもクリスタルガラスのほうが香りがより高く感じられます。
【ワイングラス】
選ぶポイントをつかめば、味や香りがより楽しめる。
【注ぎ方】
注ぐ量や飲む前のひと手間で香りがより引き立つ。
【ワインクーラー】
おいしさを損ねないよう、冷たさをキープ。
Q5.保存をするときに気をつけることは?
開栓前は直射日光を避け、涼しい場所に置いておきましょう。飲むタイミングに合わせてそれぞれのワインに適した温度帯に。スパークリングや軽い白ワインは飲むぎりぎりまで冷蔵庫でしっかり冷やします。
赤ワインは口に入れた時に少しひんやりとするくらいがちょうどいいので、飲む30分ほど前に冷蔵庫へ。飲み残したワインを次の日以降に飲む場合は、ワインのタイプや形状にもよりますが、フレッシュなワインならば簡単に栓をして冷暗所に置いておくか、暖かい時季なら冷蔵庫のポケットに入れるのもOK。
それで2〜3日くらいは楽しめます。また、保存用のグッズを活用すれば、良質のワインも開栓後の酸化を防ぐことができ、おいしさをキープできます。
Q6.料理にはどう合わせればいい?
特に難しいルールはないのですが、たとえば鶏肉や白身魚などを使った料理には白ワインを、トマトソースや赤身肉などは赤ワインをといった具合に「色」で合わせたり、イタリア料理にはイタリアワインと「産地」で合わせるなど、いくつかのコツはあります。
料理と言えるほどのものではないですが、個人的にはパルメザンチーズをたっぷりふったオリーブオイルに、食パンをつけて食べるのは、ほとんどのワインに合うと思うのでおすすめですよ!
Q7.夏のワインの味わい方は?
冷房がきいた室内で飲むのもいいですが、夏はテラスや海、公園などの屋外で飲むのもいいですね。
氷を入れてオンザロックにしたり、白ワインを炭酸で割ってスプリッツァーにするなど、ワインの飲み方にタブーはありません。
私のおすすめは、スパークリングワインに桃ジュースを加えたり、ロゼワインにグレープフルーツジュースを加えたさわやかなカクテル。比率はお好みでOKです。夏の暑い時季にぜひ試してみてください。
Q8.ワインのトレンドや注目のワインを教えてください。
近年は、こってり重い料理よりも、素材の味を生かした軽やかな料理が好まれるように。それに伴い、ワインも重くてしっかりしたタイプではなく、軽快で飲み疲れしないタイプが好まれる傾向にあります。
中でも有機農法で作られたブドウを使い、酸化防止剤の量も減らした、いわゆる「ナチュラルワイン」が自然派志向の人たちを中心に人気です。個性的な味わいや香りですが、ハマるとクセになるワインです。
その流れから、白ブドウを皮や種ごと漬け込んだ「オレンジワイン」の支持者も増えています。オレンジワインの発祥は、世界最古のワイン産地であるジョージアですから、トレンドというより復古というべきかもしれませんが……。さらに日本のワインも、ここ10〜15年で急激にレベルが上がってきていて、今後が期待されます。
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約2000種が揃う。
『クロワッサン』1097号より
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