キュレーターの林 綾野さんに聞く、「私の好きな東京」。
話題には事欠かないけれど、最先端ばかりが東京じゃない。
その楽しみ方は人の数だけ。
より深く濃く味わうためにこの地に根を張る林 綾野さんに「私の好きな東京」を聞いた。
文・長谷川未緒
東京は自分の気分やコンディションによって、出かける場所や過ごす場所を自由に選べる街。いろいろなものが混在しているからこそ、何事も「自分が選ぶ」というある種の自由さがあるのが東京の魅力だと思います。
コロナ禍以降は、気まぐれになんとなく出かけることが減って、必然性の強い場所に足を運ぶようになりました。
現在「PLAY! MUSEUM」で開催されている『junaida展「IMAGINARIUM」』も、今しか見られないものなので、ぜひ行ってみたい展覧会です。京都在住の画家junaidaさんが描く緻密でちょっと怖い部分もある世界に興味がありました。絵だけでなく映像作品なども展示されているので必見です。
東京には新しいものが次々に現れますが、古き良きものも残そうとしている部分もあります。古いものと新しいものとがしっかりといい形で混在する、そんな場所であってほしいと思います。
【私の好きなTokyo】
●PLAY!MUSEUM
「絵とことば」をテーマに大人も子どもも楽しめる美術館。「ユニークな展覧会が多く、緑の見えるカフェでゆっくり過ごすのも好きです。立川にあり、東京の中心部から少し離れていて気持ちをリセットするのにちょうどいい距離感です」(林さん)。
東京都立川市緑町3・1 GREEN SPRINGS W3棟
TEL.042・518・9625
●Bunkamura
美術館、映画館、コンサートホールなどで構成されている複合文化施設。「展覧会は魅力的なものが多く、芝居やコンサート情報も得られるなど、新たな興味を開いてくれる場所です。ショッピング、お茶、ギャラリーと、思いつくまま過ごせるのも魅力」。
東京都渋谷区道玄坂2・24・1
TEL.03・3477・9111(代表)
●日本民藝館
展覧会の開催や民藝思想の普及、作品の蒐集、調査研究を主に運営。「常設展もすばらしく、いつも感動するので、企画展、常設展の両方をゆっくり見るつもりで時間に余裕を持って行きます。ミュージアムショップは、都内でも屈指の民藝品に出合える場所です」。
東京都目黒区駒場4・3・33
TEL.03・3467・4527
『クロワッサン』1079号より
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