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野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

野菜の栄養を余すことなく食べるには? 食品成分研究者で医科学博士の名取貴光さん、管理栄養士の岩崎啓子さんに教わります。

野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理

【冷凍保存編】

【ラップに包んだら冷凍保存袋へ!】

【ラップに包んだら冷凍保存袋へ!】

Q.生の野菜と冷凍野菜、栄養が多いのは?

新鮮な野菜が一番! という考え方は間違ってはいませんが、冷凍して保存した野菜にも実は栄養がしっかり残っています。旬の時期、天候が良かったあとに品質のいい野菜が低価格で購入できたら、悪天候が続いた後やオフシーズンの野菜より、栄養価が高いことも多いのです。

最近の冷蔵庫は瞬間冷凍の機能も向上しているので、栄養豊富な野菜がたっぷり手に入ったときに冷凍しておくのはいい方法です。

家庭での冷凍にはコツや保存期間のポイントがあるので、しっかりマスターしてください。冷凍は現代の賢い保存法です。

市販の冷凍食品は冷凍技術が高く、最高にいい時期によい状態で急速冷凍しているので、栄養素を上手に摂る助けになります。

ピーマンは細切り

野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

細切りにして冷凍すると、青椒肉絲などに最適。炒め時間が短く、味は生と変わらない。

大根はいちょう切り

野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

いちょう切りにしておくと、煮物、汁物などに重宝、豚汁などに、大根冷凍があると便利。

にんじんはいちょう切り

野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

にんじんもいちょう切りがおすすめ。食感はほとんど失われる、豚汁やスープに使える。

Q.急速バラ冷凍なら栄養がそのままって本当?

家庭の冷凍室でも一工夫してできるだけ素早く凍らせれば、ほとんど栄養素は失われません。

野菜同士がくっつかないようにアルミトレイにのせてバラバラに冷凍し、冷凍保存袋に入れて保存。ただし、冷凍しても1か月以内に食べきりましょう。

Q.冷凍に適した切り方のおすすめは どれ?

野菜は冷凍すると細胞が壊れてクタッとする場合があります。体に良くても、おいしくなくては本末転倒。でも小さく切ることで食感の損失を最小限にすることができます。冷凍時の水分の膨張で細胞膜も壊れているので、栄養素の吸収のしやすさもアップ。写真のように野菜に合わせた切り方がありますが、根菜類やたまねぎならスライスにして冷凍すれば、汁物や煮物の調理時間が一気に短縮されます。炒め物などでも重宝する切り方として覚えておきましょう。

たまねぎは薄切り

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薄切りたまねぎは汁物、スープ、カレーなどの煮込みに便利。栄養は変わらず、時短にも。

大根はせん切りも

野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

味噌汁を目的にせん切りを小分け冷凍しておくのもおすすめ。加熱時間が超短縮。

キャベツはざく切り

野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

キャベツのざく切りは回鍋肉などに最適。シチュー、おひたしにも便利。

Q.小分け冷凍がいいのはなぜ?

むやみにまとめて冷凍すると、凍った後、必要量を使うのがむずかしいので、自分に適した量に小分け冷凍しておくのもおすすめです。さっと硬めにゆでた青菜や刻んだオクラなどは、凍った後に分けることができないので、小分けが必須。

ラップで包んで急速冷凍し、その後冷凍保存袋に入れるのが必須。ラップは空気を通すので、ラップだけで保存すると、ニオイ移りや乾燥が起こります。

【青菜はさっとゆでてラップ】 ほうれん草などはさっとゆでてしっかりしぼり、1回分ずつラップで包んで冷…

【青菜はさっとゆでてラップ】
ほうれん草などはさっとゆでてしっかりしぼり、1回分ずつラップで包んで冷凍。

野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

【オクラは刻んで小分けに】
オクラは生またはさっとゆでて刻んでから1回分ずつ小分けにして冷凍。そのまま使える。

Q.すりおろしてから冷凍するとうれしいことは?

1回ずつすりおろすのは手間がかかる野菜は、まとめてすりおろし、小分けにして冷凍しておくと便利。生姜はその代表。薬味にしたり、飲み物にちょっと入れたいときに、小分けの冷凍があると、生姜のパワーをこまめに頂くことができます。

大根おろしは焼き魚や揚げ物に、やまいものすりおろしは1杯分のとろろそばなどに重宝します。

【しょうがはすりおろして小分け】 薬味に使ったり、紅茶に入れたりと、1回の使用分が少ない生姜はまとめ…

【しょうがはすりおろして小分け】
薬味に使ったり、紅茶に入れたりと、1回の使用分が少ない生姜はまとめておろしたほうがラク。1回の使用量を見込んでラップで包み、急速冷凍して冷凍保存袋に入れておけば香りも成分もとばない。

Q.まるごと冷凍しても大丈夫な野菜は?

野菜はまるごと冷凍できないと思っている人も多いのですが、洗ってそのままラップで包んで凍らせてしまうと便利に使えるものも多いのです。

その代表がトマト。解凍するとグチャッとしてしまいますが、凍ったまま、煮込み料理に入れたり、凍ったものをすりおろしてソースなどに使うのもOK。生姜も凍ったまま、金属製のおろし金ですりおろすと使いやすい。丸ごと冷凍で、新しい活用法を試してみましょう。

野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

【生姜】
すりおろしたり刻んで冷凍するのも使いやすいが、まるごとでも。

野菜の栄養を保つ冷凍方法は?素朴な疑問にお答えします。

【トマト】
洗ってラップに包み、そのまんま冷凍。ミニトマトも同様。

Technique(野菜の豆知識)

●急速冷凍を応援するアルミトレイ
野菜をできるだけいい状態で冷凍するには、急速に凍らせることがポイント。熱伝導率が高いアルミトレイにのせると凍結スピードが抜群に速くなります。トレイにラップフィルムを広げ、切った野菜を凍らせたり、小分けにしてラップで包んだ野菜を急速に凍らせて活用を。

【100均にも!】 金属トレイの中でも熱伝導率が特に高いアルミトレイがおすすめ。

【100均にも!】
金属トレイの中でも熱伝導率が特に高いアルミトレイがおすすめ。

  • 名取貴光

    名取貴光 さん

    食品成分研究者 医科学博士

    山梨学院大学健康栄養学部教授、副学部長。山梨大学大学院医学工学総合教育部人間環境医工学専攻博士課程修了後、名古屋大学大学院医学系研究科研究員を経て現職。専門は食品科学、神経科学。日本農芸化学会、日本生化学会などに所属し、生体や食品を構成している成分が体の中でどのような働きをしているか、脳神経系統を中心に研究を続けている。

  • 岩﨑啓子

    岩﨑啓子 さん

    管理栄養士 料理家

    聖徳栄養短期大学を卒業後、同大学研究室助手、料理研究家のアシスタント、保健所での栄養指導などを経て、料理研究家として独立。書籍や雑誌、メニュー開発などで活躍。栄養バランスを考えた、やさしく飽きのこない味で、簡単に作れる毎日の家庭料理を多数提案している。数十冊の料理書をはじめ、ダイエットや食事療法の頼れる著書も多数。

    ※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。

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