立つ、歩く、座る。基本の動作を見直して疲れない体を作ろう。
撮影・岩本慶三 イラストレーション・ストマックエイク
「間違った体の使い方をしている人は、実はとても多いです」
理学療法士、介護福祉士として、多くの人を指導している岡田慎一郎さんは、日本の古武術をベースに、体の動かし方を研究している。
「全身をうまく連動させて、全部使うことが大事。立つときも、脚だけでなく腰を使う。物を取るために腕を伸ばすときも、肩だけでなく背中の肩甲骨から使うようにすると、肩こりにもなりません」
とはいえ、全身で動くことを意識するのはなかなか難しいもの。
「体がラク、ということをまず第一に考えましょう。儀礼的な姿勢や、ファッション的にきれいに見える形は、無理をしていることが多いです。続けていると疲れてしまう。実用的な動き方は機能美にもつながるので、結果的にはきれいに見えますよ」
【立ち方】「気をつけ!」の姿勢は間違い。 適度にゆるんでいるのが正しい立ち方です。
(A)腰が反っている
(B)胸を張っている
(C)全身に力が入っている
「胸を張るのがいいと思っていませんか。この姿勢だと、腰が反ってしまって無駄な力がかかります」。気をつけ、の姿勢は、あくまでも一時的に取る儀礼的なもの。長く続けるのには無理があります。
(A)後頭部が上に引っ張られるイメージ
(B)肩に力が入っていない
(C)ひざがゆるんでいる
全身がゆるんでいるのがいい状態。「自分なりの楽な状態を見つけましょう。これくらい負担があって当たり前、と思ってしまうのがいちばんダメ」。ひざを楽にすると、自然と股関節と骨盤もゆるんでいい状態に。
長時間立つとき
(A)脚と脚は適度に開いてOK
(B)左右の足裏に均等に体重がかかるようにする
(C)肩は一度上げてストンと落とした状態がベスト
(D)土踏まずのアーチを意識
「肩を楽にしましょう。自然と首が伸び、全身がリラックスします」。それでも、直立不動で立ち続けるのはつらいもの。「同じ姿勢を続けるのはNG。脚をクロスすれば股関節が自然とゆるみます。見た目もきれいで疲れません」
(A)つま先を開き土踏まずを前に向ける
(B)左右をときどき入れ替える
【歩き方】いわゆるウォーキングの歩き方は、日常には合いません。
(A)大きく腕を振る
(B)大股で歩く
(C)かかとからドスンと着く
胸を張って元気よく腕を振り、大股で歩くウォーキングの歩き方は、あくまでも運動のため。「裸足で歩いても負担がかからないのが本来の歩き方。靴を履いていると見失いがちなポイントです」
(A)足裏全体でソフトに接地する
(B)上半身が軸脚の土踏まずの上に乗っている
「負担がかからない歩き方のコツは、土踏まずのアーチを崩さないこと」。かかとではなく、足裏全体で接地させるようにします。「土踏まずの上に上体を乗せると、安定した状態を保って足を出せます」
●かかとから小指・親指に体重移動
かかとをドスンと着くと、土踏まずがつぶれてしまいます。足の外側を通って、小指から親指のほうに体重移動するイメージで。
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