黄ぐすみやシミを薄くする、甘酒の美肌効果とは?
撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり
黄ぐすみやシミを薄くする美肌効果。
毎朝、玄米甘酒を豆乳で割って飲むのが、美容皮膚科医の工藤清加さんの習慣です。
「7~8年前から愛飲していますが、肌の乾燥が防げてしっとり、髪にもツヤが出るようになりました。肌や毛髪の主成分はアミノ酸です。肌の表面の角質層には、天然保湿因子と呼ばれる肌の保湿やバリア機能を担う成分があり、その大半もアミノ酸からできています。甘酒には人体では作れない必須アミノ酸がすべて含まれています。つまり甘酒を飲めば保湿成分も補える、まさにインナービューティーの特効薬ですね」
優れた美肌効果が期待できる甘酒。中でも美容界で注目されてきたのが麹に含まれるコウジ酸です。
「日本酒を造る杜氏(とうじ)さんの手が白くてきめが細かく、とてもきれいなのはよく知られています。コウジ酸はメラニンの生成を抑える作用を有しているので、美白成分として厚生労働省に認可され、美白化粧品に配合されています。メラニンの色素沈着を抑え、紫外線を受けた肌のシミやくすみ予防になるんです。また、皮膚の黄ぐすみの抑制に効果があることもわかってきました」
さらに甘酒には「美肌のビタミン」と呼ばれるビタミンB群が豊富なことも見逃せません。
「ビタミンB群は肌や爪、髪を健やかにし、皮膚の新陳代謝を促してくれます。解毒作用も高く、老廃物をスムーズに排出してくれるので、肌の健康には欠かせません」
免疫機能の70%は腸内に。甘酒は善玉菌を増やし、腸を改善します。
美肌効果を高めるには、腸内環境を整えて善玉菌を増やすことが基本。甘酒はここでも活躍します。
「私たちの体を病気から守る免疫細胞の多くは腸に集中し、『免疫機能の70%は腸がつかさどる』と言われるほど、腸内環境はとても大切です。医学界でも腸内細菌は見直されている分野で、研究が進められています。太りにくくしたり、うつ病を予防したり、コレステロールを抑えたり、いろいろな働きをする腸内細菌がいることがわかってきています。甘酒には善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維が豊富なので、善玉菌が増えることで免疫力がアップし、がんを抑制するなど、多くの病気を予防してくれるのです」
日本人は昔から腸内環境を整える麹や植物性乳酸菌を摂ってきました。しかし現代生活では、その摂取量が確実に減ってきています。
「腸内の善玉菌を増やすには伝統的な和食中心の食生活に戻ることが一番。甘酒はその柱になります」
腸の中からきれいになれば、肌が健康になり、若返る。
●美肌効果
米麹に含まれるコウジ酸には、皮膚が日焼けを起こして、シミ、そばかすの原因になるメラニン色素の生成を抑える作用のあることが知られています。また、たんぱく質と糖が結合して生じる皮膚の黄ぐすみの抑制にも効果的です。
●アレルギー発症予防
花粉症をはじめアレルギー症状を起こす要因の一つは、善玉菌と悪玉菌のバランスの乱れなど腸内環境の悪化です。腸内環境を整え免疫力を高めることは、アレルギー症改善の出発点になります。甘酒の有効性が期待されています。
●整腸作用と腸内フローラの改善
100種1,000兆個ともいわれる腸内細菌は、種別に群生する花畑に似ているため、「腸内フローラ」と呼ばれます。このバランスを善玉菌優位に保つことが大切です。甘酒には悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やす成分が豊富です。
●抗酸化効果
細胞を老化させる原因の一つが体内に活性酸素が発生したことで起きる「酸化」です。甘酒にはそれを強力に阻止するコウジ酸やフェルラ酸などの抗酸化成分が含まれ、アンチエイジング、抗がん作用、美白などの効果が期待されています。
わたしも実践しています!
和食中心の食生活をサポートしてくれるのが甘酒と発酵食品です。(工藤さん)
毎朝、麹水で作った熊笹の青汁、有機玄米甘酒を豆乳で割ったものを飲んでいます。
密閉容器に入った自家製のぬか床に玄米麹と乳酸菌を混ぜ込んで、ぬか漬けを作っています。
朝食は小松菜の味噌汁に豆乳をプラス、セロリとごまとひまわりの種のサラダ、自家製ピクルス、梅と赤しそのはちみつ酢漬けなど腸内環境によい副菜や汁物を考えて。
『Dr.クロワッサン 若返る 甘酒・麹の健康法』(2019年6月28日発行)より。