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ほぼ月経はないのですがまだ避妊は必要でしょうか。今、49歳です。【88歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子

Q. ほぼ月経はないのですがまだ避妊は必要でしょうか。 今、49歳です。

月経はほとんどなくなって、たまに、ほんの少しだけ茶色っぽいものが下着につくことがあるくらいです。この状態が1年以上続いているので、もう閉経かと思っています。とくにホルモン補充療法(HRT)は考えていないので、ホルモン値を調べには行っていません。野末先生にご相談したいのは、避妊のことです。現在、コンドームを使っています。この年齢で妊娠の可能性はあるのでしょうか。(I・Wさん 49歳 会社員)

A.妊娠の可能性はゼロではありません。避妊は続けましょう。

野末悦子さん 産婦人科医師
野末悦子さん 産婦人科医師

I・Wさん、ご質問、ありがとうございます。月経がほぼないとのことですが、ときおりの出血がみられるようですね。妊娠の可能性はゼロではありません。ふだんは排卵しなくても、たまたま1年に1回あった排卵のときに、妊娠してしまうこともあるのですから。

避妊は、完全に閉経がわかるまで続けましょう。婦人体温計をつけるのもおすすめです。排卵があるかどうかわかります。

年齢別・人工妊娠中絶の実施率

人工妊娠中絶は、ここ10年どの年代も減少傾向だが、40代前半は10代に近い数字とわかる。調査には出てないが、50代もゼロではない。出典:厚労省「平成29年 衛生行政報告書の概要」
人工妊娠中絶は、ここ10年どの年代も減少傾向だが、40代前半は10代に近い数字とわかる。調査には出てないが、50代もゼロではない。出典:厚労省「平成29年 衛生行政報告書の概要」

お返事を書きながら思い出すのは、恩師、横浜市立大学の森山豊先生の母子保健、母子衛生の講義です。

「長い間、妊娠・出産という女性の性に関して、女性の意思は尊重されなかった。それによって、女性は自分のカラダを痛めてきている。社会のあり方が女性の健康を左右してきたと言える。女性が自分で性を管理しない限り、病気もなくならない

森山先生のこの言葉がなければ、私は婦人科医にならなかったかもしれません。あれから六十数年。皆さんは、まだ自分の「性」を人任せにしているのでしょうか。厳しい言葉に聞こえるかもしれませんが、女性という性に生まれたからには、その影響からは逃れられません。したいことを実現する、幸せに生きる、そのためには、自分のカラダが今どうなっているかを知っておく必要があるのではないでしょうか。

初潮、性体験、結婚、出産、閉経……注意深くカラダに目を向ける必要があります。こと、閉経をすぎてからは、エストロゲンの減少で、カラダは大きく変化しながら、30年、40年過ごしていくことになります。最後の、大変革。きちんと向き合いましょう。がん検診はもちろんのこと、婦人科でホルモン値や骨密度などを調べ、どんな状況でいるかを知っておかなくては、とうてい大人の女性とは言えませんよ。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

カラダの変化は「数値」でも知っておこう。(Dr.野末)

ほぼ月経はないのですがまだ避妊は必要でしょうか。今、49歳です。【88歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

野末悦子(のずえ・えつこ)さん●産婦人科医師。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、久地診療所初代所長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などを歴任。

『クロワッサン』1030号より

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