「花を生ける」。桐島かれんさんの人生を支える決まり。
撮影・白石和弘 文・一澤ひらり 衣装協力・ハウス オブ ロータス
- 人生を支える決まり - 花を生ける。
美しいものに囲まれて暮らしたい。それが桐島かれんさんの願い。
「移ろいゆく季節の花々で部屋を彩り、家の中はいつも表情豊かな花と緑にあふれています。お花を習ったことはなく独学ですが、一人暮らしを始めた20歳のころからずっと、部屋や枕元に花を飾ってきました。ハッピーになるし、暮らしに潤いを与えてくれますよね」
上の写真の素敵な花あしらいは、枝ぶりのいいドウダンツツジに、モフモフした花が特徴のスモークツリー、芳しいユリをダイナミックにアレンジ。見る角度によってさまざまに景色は変わるが、たおやかに空気が和む。
「もともと絵を描くのが好きで、生ける花の色の配分や余白のバランスは絵を描くのと同じなので、1つの作品を創作しているような感じですね」
花だけではなく、家の中には観葉植物のモンステラ、エバーフレッシュ、パキラなどが至るところに。
「結婚して27年になりますけど、当初から育ててきた観葉植物もあるんです。グリーンがあると心が落ち着くし、インテリアのアクセントにもなります。でも病気をしやすいので、葉っぱは1枚1枚拭いてあげるし、カイガラ虫とかも楊枝で取るんです。必死に声をかけながらレスキューするので、枯らしたことはほとんどありません。植物の世話をするのが好きなんですね」
花や植物を上手に育てる人のことを、グリーンサム(みどりの指)の持ち主と言うが、桐島さんにもきっとその才が備わっているのだろう。
「現代人ってどうしても頭で考えてしまって、意識が刺激され続けて心が休まりせん。でも、緑でリフレッシュできるし、花は優美な姿と香りで気持ちを安らかにしてくれます」
植物と向き合うことは自然と触れ合うことだから、都会の中であっても浄化されていく気がする、と桐島さん。
「何よりも花を生けているときは無心になれるんです。集中して頭の中に何もない状態で、神経を研ぎ澄ませて感覚だけで生けていると、まるで瞑想しているような感じになります。そうすると心がスーッと静まっていくのです」
静謐な空間に包まれて、花と緑をいつくしむ人は楚々として佇んでいる。
桐島かれん(きりしま・かれん)●モデル。1964年、神奈川県生まれ。ライフクラフトブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクター。著書に『ラブ オブ ライフ』(学研プラス)など。
『クロワッサン』1027号より