冷蔵庫の野菜室、正しい使い方と収納術。
撮影・岩本慶三、青木和義、森山祐子 文・室田元美
【野菜室】
かさばる野菜は小さくカットして野菜室へ。
●温度
約5度〜7度
●特徴
野菜の保存に最適。食材の水分を保つため湿度も調節。
●適した食品
ほぼすべての野菜。根菜類は室温が20度を超えたら野菜室へ。ペットボトルや米の収納にも。
かさばる野菜は 使いやすい形に切る。
ピーマンやパプリカは種を取って切り分け、しめじは房を分けて。キャベツはざく切りにしてジップ付き袋で保存するとすぐ使える。
お米の保存はペットボトルや保存袋に。
野菜室の温度、湿度はお米の保存にもピッタリ。「なるべく空気に触れないよう、ジップ付き袋やペットボトルに。おいしさを保てます」
使いかけの半端な野菜は1カ所に。
少し残ってしまった野菜は個々にラップで包み、カゴに入れて野菜室上段の手前の取り出しやすい場所に。迷子になるのを防げる。
夏野菜はキッチンペーパー+ポリ袋に。
冷気が苦手なトマトやきゅうりなどの夏野菜は、キッチンペーパーに包んでポリ袋に入れると長持ちする。きゅうりは立てて保存。
野菜の種類によって保存方法を工夫する。
〈 洗いごぼう 〉
野菜室に入る高さにカットし、濡らしたペーパーで包み、ポリ袋に入れると萎びにくい。なるべく立てて保存する。
〈 小松菜 〉
アスパラ、葉野菜など地面から上に育つものは、畑の状態のまま立てて保存。カットしたペットボトルを使うと便利。
〈 レタス 〉
爪楊枝で芯の部分にある成長点を3カ所ほど刺し、芯を下にして保存すると、劣化を遅らせることができる。
〈 ブロッコリー 〉
水を3〜4cm入れたグラスに挿して、全体をポリ袋で覆ってテープでとめておくと長持ち。水分が減ったら補給を。
〈 大根 〉
葉は濡れたペーパーで根元を包みポリ袋に、下部は3等分に切ってそれぞれペーパーで包みまとめてポリ袋に入れる。
冷蔵庫で賢く管理すれば、食材を死蔵しません。
冷蔵庫の食材をダメにして捨ててしまった苦い経験は、だれにもあるだろう。とくに傷みやすい夏場は要注意だ。食品ロスにも詳しい料理研究家の島本美由紀さんによると、
「日本では年間1人あたり2万2000円の食品ロスを出しているんです。仮に4人家族だと相当な総額ですね」
お金も食材もムダにする暮らしは、いまこそ見直しどき。そこで、冷蔵庫の食品を死蔵しないコツを聞いてみた。
島本さんによると、食品ロスがとくに多いのは、野菜と調味料。そこで自身が実践しているのが、こんな方法。
「買い物の前にまず冷蔵庫をチェック。野菜室の中身はスマホで写真を撮って、売り場でそれを見ながら足りないものを買うようにします」
調味料などは月に一度、日を決めて「見直しデー」を作るといいとのこと。
「冬に大活躍したゆず胡椒、古くなったオイスターソースなどを見つけたら、それを使うためのレシピを考えます」
収納の基本は死角を作らないよう、〈見える〉〈まとめる〉〈取り出しやすくする〉が3カ条。そして、チルド室、冷凍室、野菜室の温度を知って正しく収納、保存すること。
「収納は7割が限度。詰めすぎると取り出す時間がかかって庫内の温度が上がり、食品も傷みやすくなります」
島本美由紀(しまもと・みゆき)さん●料理研究家。ラク家事アドバイザーとしても活躍。著書多数。新刊は『調味料保存&使い切りのアイデア帖』(パイ インターナショナル)。
『クロワッサン』1026号より