ロバート キャンベルさん、青木さやかさん、山内マリコさんが提言。コロナ禍のいま、伝えたいこと。
ロバート キャンベルさん
日本文学研究者。米・ニューヨーク市出身。専門は江戸から明治時代の文学。特に江戸中期から明治の漢文学、芸術、思想等の研究を行う。テレビ、ラジオに出演するほか、新聞雑誌連載、書評など、さまざまなメディアで活躍中。
数ヶ月間、移動が無くなり、空間も狭まって、新しい働き方に慣れるまで多少の時間は掛かったけれど、こんな発見がいっぱいあるのかと静かに驚く日々であった。
5月。キビタキという渡鳥が近所の川縁を中継地点にしている。夕方になるとピーリッと鳴いた後ピッピリリ、ピッピリリと畳みかけるような美声を張り上げた。飛行機も飛行機雲も無くなった空は、これまでより倍くらい広く感じられた。春は奪われたけれど、別の春がそこにはあった。
青木さやかさん
あおき・さやか●タレント。愛知県出身。女優としても活躍するほか、NPOにて動物保護活動も行う。現在、『婦人公論』のWEB版にてエッセイを連載中。今年12月から年明けにかけては舞台出演も控えている。
娘と若いネコ2匹と老犬。ごはんの準備ばかりしていたような(笑) 予期しなかった自宅生活で家族のことを知ることができました。いつの間にこんなに成長したの? と娘に感じながら、2人で会話しながら食事する時間は宝物。明日を気にせず夜眠るというのは幸せな発見。「犬と猫とわたし達」のYouTubeをスタートさせ、アナログな私が初めてパソコンを購入し、Wi-Fi環境を整え、リモート撮影。人生の初挑戦が沢山できました。
山内マリコさん
やまうち・まりこ●作家。本誌で「銀幕女優 レトロスペクティブ」を連載中。近著は『山内マリコの美術館は一人で行く派展』(東京ニュース通信社)、『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』(光文社)。
思いがけずはじまったスローな生活は楽しい。だけど1日家にいると、時間がブラックホールに吸い込まれたんじゃないかってくらい、あっという間に過ぎていきます。あまりの手応えのなさに、今日という日に未練が残る。けれど、とくになにも成し遂げられない1日の終わり、自分を許してあげることにしました。ミニマムで地味な生活を、愛することにしました。自分にうんと甘くなる。そうすれば、自分以外の人にも甘くなれる。
『クロワッサン』1025号より
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