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「緑内障」のQ&A。どんな病気? 症状、治療法は? 専門医に聞いた。

年齢とともに顕著にあらわれるのが、目の不調。人生100年時代だからこそ目の健康を保ち、楽しく生きていきたい。東京女子医科大学 教授の飯田知弘さんにお話を伺います。

撮影・中島慶子 イラストレーション・内山弘隆

【緑内障】視神経が弱まり、少しずつ視野が欠けてくる。

CHECK LIST

□ 片方の目にぼやけて見える部分がある
□ 目がかすむ
□ 暗い場所でものが見づらい
□ ここ数年、眼科に行っていない
□ 目が疲れる

Q.緑内障とは、どんな病気?

眼圧などの影響で視野が欠けてくるが、 正常眼圧でも起こる。

視神経の強さと眼圧のバランスが崩れ、視神経が傷つけられることで、徐々に視野が欠けていく緑内障。

「目の中では常に房水(ぼうすい)という水が作られていて、それが外に抜けるルートを隅角(ぐうかく)といいます。緑内障は、その隅角が詰まり眼圧が上昇する原発開放隅角緑内障と、隅角そのものが狭くなってふさがる原発閉塞隅角緑内障があります。後者は急性緑内障発作が起きると短時間のうちに失明することも。遠視の人や、地域によっても起こりやすさに差があるのですが、体質に加え年齢も原因のひとつ」

重要なのは、眼圧が正常なのに緑内障が起こる正常眼圧緑内障。日本人の緑内障患者の7割が相当する。

「数値が正常でも、その人にとっては圧が高いということ。正常眼圧緑内障も含め、いずれも加齢でリスクが高まることは確かです」

視神経が弱まり緑内障になる。

房水が隅角からうまく排出されないと眼圧が上がり、その影響で視神経が弱まる。しかし眼圧は正常でも視神経は弱くなることがある。
房水が隅角からうまく排出されないと眼圧が上がり、その影響で視神経が弱まる。しかし眼圧は正常でも視神経は弱くなることがある。

Q.緑内障になるとどんな症状があらわれる?

自覚症状はほぼなし。気づいたころにはかなり進行している。

進行すると失明の危機もある緑内障。できるだけ早い段階で気づきたいが、初期症状はあるのだろうか。

視野が欠ける兆候というのはほとんどありません。自覚症状が出たらもう遅いと思ってください。人は両方の目で補い合ってものを見るので、かなり進行するまで気づくことができないのです。一度傷んでしまった視野は元に戻りませんから、とにかく早い発見のための診察が大事」

“視野が欠ける”と聞くと、黒い影で部分的に覆われたり、図柄が欠けるように見えたりするイメージだが、

「実際は違います。勘違いしている人も多いですが、黒く欠けるのではなく、部分的にぼやける。だから、異常に気づきにくく、目やにがついているのかな、などと思ってそのままにしてしまいがちです」

普段と違う見え方をしたら要注意。

緑内障の人の見え方

初期:一部分が少しぼやけて見える。中心部は鮮明に見え、また両目で見るとぼやけた箇所は補われるため、視野の欠けには気づかずほとんど自覚症状はない。
初期:一部分が少しぼやけて見える。中心部は鮮明に見え、また両目で見るとぼやけた箇所は補われるため、視野の欠けには気づかずほとんど自覚症状はない。
中期:ぼやけた部分が徐々に広がってくる。まだ自覚症状は少なく、両目で見る生活の中で気づくこともないが、片方の目で見たときに気づくことも。
中期:ぼやけた部分が徐々に広がってくる。まだ自覚症状は少なく、両目で見る生活の中で気づくこともないが、片方の目で見たときに気づくことも。
後期:全体がぼんやりして見える。ぼんやりしている範囲が広がり、自覚症状があらわれる。視野の中心部がぼやけると、視力が低下し、日常生活にも支障が。
後期:全体がぼんやりして見える。ぼんやりしている範囲が広がり、自覚症状があらわれる。視野の中心部がぼやけると、視力が低下し、日常生活にも支障が。
初期:一部分が少しぼやけて見える。中心部は鮮明に見え、また両目で見るとぼやけた箇所は補われるため、視野の欠けには気づかずほとんど自覚症状はない。
中期:ぼやけた部分が徐々に広がってくる。まだ自覚症状は少なく、両目で見る生活の中で気づくこともないが、片方の目で見たときに気づくことも。
後期:全体がぼんやりして見える。ぼんやりしている範囲が広がり、自覚症状があらわれる。視野の中心部がぼやけると、視力が低下し、日常生活にも支障が。

Q.緑内障の検査、治療法は?

眼圧や眼底、視野など、複数の検査が必要。点眼薬などで眼圧を下げる治療を。

眼圧測定、眼底検査、視野検査など、複数の検査を行い診断する。眼圧の正常値は個人差もあるが10~21mmHg。しかし患者の7割を占める正常眼圧緑内障は、眼圧検査だけでは見逃してしまうことも。

「OCTという検査機器を用いることで、視野が欠ける前の段階や初期の緑内障も見つけることができるようになりました」(飯田さん)

主な治療は、眼圧を下げる点眼薬。

「眼圧が高いか正常値か、また眼圧が高くなる原因によって、治療方法は異なりますが、いずれもまずは眼圧を下げるための治療から始めます。毎日目薬をさし、定期的な測定で眼圧が抑えられているか、視野障害の進行はないかをチェックします」

点眼治療でも視野の欠けが進行した場合や、眼圧が高く、房水の排出口が狭くなる原発閉塞隅角緑内障の場合は、手術やレーザー治療を行う。

健康診断などでよく行われるのが、この空気眼圧計による眼圧測定。目に空気をあてて眼圧を測る。痛みはない。
健康診断などでよく行われるのが、この空気眼圧計による眼圧測定。目に空気をあてて眼圧を測る。痛みはない。
「緑内障」のQ&A。どんな病気?  症状、治療法は? 専門医に聞いた。

飯田知弘(いいだ・ともひろ)さん●東京女子医科大学 教授。日本眼科学会常務理事、日本網膜硝子体学会理事、日本眼循環学会理事。加齢黄斑変性など黄斑・網膜疾患を専門とし、外来も受け持つ。メディア出演も多く、また趣味の考古学研究は玄人はだし。

『クロワッサン』1016号より

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