今、知っておきたい、『キャッシュレス』時代への備え。
イラストレーション・山下カヨコ 文・斎藤理子
今、注目度が急上昇中のキャッシュレス決済。現金以外での支払いの総称だが、その内容や方法は多岐にわたる。
「現時点では、日本のキャッシュレス決済金額の第1位はクレジットカードで、支払いの9割を占めます。次が電子マネーで、3位がデビットカード。すべてを合わせても支払い総額の2割程度です。政府はこれを2025年までに4割に上げる方針を打ち出しています。今後、現状よりはキャッシュレス化が進むのはまちがいありません」と、松崎のり子さん。
急激に増えるキャッシュレス決済方法に賢く対処するために、知っておくべき基本を押さえておこう。
今、なぜ注目されているの?
日本の場合、キャッシュレス化が進むのは、主に事業者(企業)と国の利便性が大きいと松崎さん。
「銀行は維持費が高いATMを廃止でき、小売店はレジのコストや人件費を削減できます。現金を置かないので防犯にもなりますね。国としても、労働力不足の解消、インバウンド消費への対応、不透明な現金資産の見える化などが期待できるとあり、積極的に導入したい考えです。こうしたことが、官民一体となってキャッシュレスを推進する背景に」
海外では、キャッシュレスによって企業の売り上げを透明化することで脱税の防止や税収アップに成功している国も多く、日本政府もそれを強く期待しているという。
もちろんこれまでも、クレジットカードや電子マネー、デビットカードの利用はされていたが、キャッシュレスが一気に注目されたのは、昨年12月にPayPayが行った『100億円あげちゃうキャンペーン』。PayPayで買い物をすれば20%相当がポイント還元されるという内容が、それまでキャッシュレスに興味がなかった層も巻き込み大きな話題になった。
「消費税の増税を控え、中小規模の店舗、例えば商店街のパン屋さん等でキャッシュレス決済すれば、支払った額の5%をポイント還元する対策(増税後9カ月限定)を政府が導入すると発表し、キャッシュレスが注目される大きな一因に」
消費者から見たメリットとデメリットは?
「メリットは、1.財布がスッキリする。2.ATMで現金を下ろす手間が省け、引き出し手数料もかからない。3.お金の使用データが残る。4.割引が受けられたりポイントやマイルが貯まる。といった点です」
口座残高の範囲内で即時決済されるデビットカードは現金感覚で使える。また、プリペイド式の電子マネーは残高が明確なので使いすぎが避けられるなど、タイプによってメリットは様々。ポイント還元があるものが多いのも大きな魅力に。
「デメリットは、1.クレジットカードのように後払いだと、決済時と引き落としがずれる。2.ポイントやキャンペーンにつられ余計な買い物をしがち。3.多種のツールを使うと家計管理が複雑に。④不正使用の心配。などが考えられます」
スマホアプリには、購入履歴データが残るので管理がしやすい反面、紛失や、盗難、破損、電源切れ、停電などで使えなくなるリスクも。
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