もうひとつ、大きな気づきとなったのは、本の題名にも入っている“余白”についてだ。
「すごく完璧主義者だった自分が、余白の大切さに気づくようになりました。余白、つまり遊びの部分がないと、自由に動けなくなってしまうなって。お芝居でもそうです。キャラクターを作りきらず、余白を持たせておくと、演じている時に、不思議とそこが埋まるんですよ。言葉では表せないんですが、相手役が投げてくる何かで埋まったり、舞台だと客席からの反応で埋まったり。それが美しいなと思う。私たちって、空いているところがあると、つい心配になって、いろいろなものを詰め込みたがりますよね。余白を作ることは、持っているものをあえて手放す行為を伴うので勇気がいるけれど、結果的には自分が思っている以上の恵みがやってくると思うんです」