【副住職に学ぶ、減塩料理】<2>
精進出汁が味を引き出す料理5品。
600年以上の歴史を誇る禅寺。副住職に、減塩のお手本たる出汁と料理について聞きました。今回は料理の作り方です。

精進出汁が引き出す野菜の甘みやほろ苦さで気持ちよく箸が進む。
山梨県都留市で長い歴史をもつ耕雲院の副住職、河口智賢さん。福井県にある大本山永平寺での修行時代、河口さんは典座(僧侶の食事や仏前に供える料理を作る僧)として、毎朝、いくつもの大鍋に200人分余りの精進出汁を引いていました。通常は昆布と椎茸。特別な法要では、大豆とかんぴょうも加えます。
その特別な精進出汁を使った5品の作り方を教わりましょう。
4種の乾物を使った精進出汁の作り方。
材料(2ℓ分) 水2ℓ 大豆30g 昆布10×5㎝ 干し椎茸(小)1個 かんぴょう15㎝
1.大豆の半量を軽く焦げ目がつくまでから煎りする。
2.昆布はハサミで切り込みを入れておく。
3.すべての材料を鍋に入れ、一晩置く。
4.3を沸騰直前まで加熱して、アクをすくう
5.取り出した出汁がらは、甘辛く煮付けて佃煮に。
揚げ出し豆腐のみぞれあんかけ
作り方
1.豆腐をキッチンペーパーなどで水切りし、4つに切る。
2.大根おろしは絞って水気を切る。
3.鍋に精進出汁、日本酒、みりん、しょう油を入れひと煮立ちさせる。
4. 2を3に加え、みぞれあんを作る。
5.1に片栗粉をまぶす。フライパンに少なめの油を入れ、全体が少しきつね色になるまで揚げる。器にのせ4をかける。

豆腐は外側をカリッと。環境と健康のために、油は少なめ。
けんちん汁
材料(6人分) 大根100g 人参80g ごぼう80g 椎茸2枚 こんにゃく½枚 蓮根50g 木綿豆腐½丁 ごま油大さじ3 唐辛子の小口切りひとつまみ 生姜の千切り適量 酢少々 精進出汁1ℓ A[酒大さじ4 みりん大さじ4 しょう油大さじ2 塩2g]
1.豆腐はキッチンペーパーに包み、軽く重石をして水切りをする。
2.大根、人参、蓮根はいちょう切り、ごぼうはささがきにする。
3.蓮根、ごぼうを酢水につける。
4.椎茸は約4㎜幅に切る。こんにゃくはスプーンでちぎる。
5.鍋にごま油、唐辛子を入れ、香りが立ったら、蓮根、ごぼうを加える。
6.少し火が通ったら豆腐以外の具材を入れ、大根が透明になるまで炒める。
7.精進出汁、豆腐を加える。沸騰したら中火にしてアクを取り、20分ほど煮る。Aを入れてひと煮し、生姜を加える。

具はどっさり。出汁に野菜の味が移って、うまみが出る
蓮根のきんぴら
材料(4人分) 蓮根100g 人参50g 白いりごま適量 砂糖小さじ1 日本酒小さじ1 しょう油小さじ1½ 精進出汁50㎖ ごま油大さじ1 七味唐辛子適宜
1.蓮根と人参は薄い半月切りにする。
2.鍋にごま油を入れ火にかける。1を入れて炒め、砂糖を加える。
3.水が出てきたら日本酒を加える。
4.日本酒が飛んだら精進出汁としょう油を加えて水分がなくなるまで炒める。
5.白ごまを振ってできあがり。好みで七味を振っても。

ジャッと音を立てて炒め、野菜が透き通ってきたら砂糖を。
秋野菜の煮物
作り方
1.里芋と人参は皮をむき、一口大に切る。
2.鍋に精進出汁400㎖、酒大さじ2、みりん、しょう油、砂糖を入れる。
3. 1を加え火にかける。沸騰したら落とし蓋をして柔らかくなるまで煮る。
4.精進出汁200㎖に薄口しょう油と酒大さじ1を加えて火にかける。沸騰したら2つに切ったいんげんを入れ、鮮やかな色に変わったらできあがり。3とともに器に盛る。

落とし蓋をすると、根菜類にふっくらと火が通る。
きのこの炊き込みごはん
材料(4人分) 米2合 舞茸100g しめじ100g 油揚げ½枚 A[酒大さじ1 みりん大さじ1 しょう油大さじ1] 精進出汁約300㎖
1.米をといで30分~1時間水に浸し、ざるに上げて水を切る。
2.きのこは食べやすい大きさに切っておく。
3.油揚げは油抜きをして短冊切りにする。
4.炊飯器に洗った米、Aを入れる。精進出汁を加え、炊飯器の目盛りどおりに調整する。
5.4を軽く混ぜ、きのこ、油揚げをのせてスイッチを入れる。
6.炊き上がったら軽く混ぜる。

具は、焦げないよう米の上にのせ、炊き上がってから混ぜる。
【副住職に学ぶ、減塩料理】<1>
4種の乾物を使った精進出汁の作り方。はこちらから。
https://croissant-online.jp/topics/38445/
◎川口智賢さん 耕雲院副住職、全国曹洞宗青年会教化法式委員会委員長
『クロワッサン』911号(2015年10月25日号)より
広告