【杉田成道さんの場合】家庭円満の夫に聞く、捨てられない極意。
撮影・岩本慶三 文・嶌 陽子
年を重ねるほどに、相手との距離の取り方が上手になってくるね。
50歳の時に前妻を病で亡くし、7年後に30歳年下の女性と再婚。その後、57歳で第一子、60歳で第二子、63歳で第三子が誕生。仕事をしながら育児や家事に奮闘する自身の姿を描いた著書『願わくは、鳩のごとくに』が出版されたのが2010年。それから7年、杉田成道さんがどのような夫婦生活を送っているのかを知りたくて会いに行ったところ、驚きの新事実が。なんと昨年、72歳にして第四子が生まれていたのだ。
「いやあ、まいったね。知り合いには“いよっ、日本のミック・ジャガー(編集部註:73歳で第八子が生まれた)!”なんて言われましたよ」
照れ笑いする杉田さんだが、家族の写真を見せてくれる顔はうれしそうだ。
「4人となると、もう大変。特に朝は、子どもたち全員を送り出すので、戦場ですよ。妻の両親、といっても僕より若いんだけどね(笑)、2人にも手伝ってもらったり、夕食作りや洗濯は、お手伝いの人に頼んだり、総動員してやってます。妻と2人だけの時間? そんなの、ほとんどないよ」
子どものころは“男子厨房に入るべからず”で育ち、前の結婚でも家事や育児は妻任せだった。ところが、今回の結婚では、第一子が生まれた時に妻が医大生で忙しかったこともあり、一部を担わざるを得ない状況に。
「60代から家事と育児をやるようになったわけだけど、やってみると、台所って意外と面白いなあと思うようになりましたよ。特に皿洗いは、けっこう無心になれますね」
現在も仕事を続ける杉田さんと、小児科医である妻が会話するのは主に一日の終わり。子どもたちの宿題を見ながら、その日の出来事や明日のスケジュールなどを話す。
「大体が子どもたちの話で、それも『困ったもんだ』っていう内容。『誰の血をひいたんだろうね』『あなたでしょ』『お前だろ』とか言い合ったりね」
もうひとつの夫婦のコミュニケーションが、週に2〜3回、寝る前に妻の足を10分ほどマッサージすること。結婚以来、続けている習慣だ。
「僕は家ではマッサージ機です(笑)。夫婦円満の秘訣は、これくらいですね」