3〜4年前から「毒親・毒母」というなにやら恐ろしい言葉を耳にするようになり、母娘の依存関係を描いたドラマも話題に。愛情や母性の名のもとに娘を支配したり、ライバル視したりする大人になりきれない母親と、その呪縛に苦しむ娘が多いのだという。そこまでこじれた関係ではないにしても、息苦しさを覚える瞬間は誰にでもあるのでは? 私たちの人生に、よくも悪くも絶大な影響を与えてきた母という存在とどう向き合えばいいのか。それぞれに複雑な思いを打ち明けます。
高橋リエさん(以下、高橋) 私はカウンセラーとして母親との関係に悩む女性の話を聞く機会も多いのですが、そもそも私自身が毒母だったので、なぜそうなってしまうのかをとことん追究し、問題と向き合ってきました。
しまおまほさん(以下、しまお) どうしてご自身をそのように思われたのでしょうか?
高橋 結婚して出産して、何の問題もなくやってきたつもりでいたのですが、中学受験を終えたばかりの長男が、突然不登校になったのがきっかけ。どうしよう、大変だ!と。復学支援機関に駆け込んだり、スピリチュアルに頼ろうとしたこともありました。やがて心理療法のセッションに参加したり、民間のカウンセラー養成講座で勉強するうちに、問題があるのは息子ではなく、私のほうだと自覚したんです。学歴がすべてじゃないし、息子が好きなように生きればいいなんて頭では考えていましたが、腹の底では「いい学校を出ないと将来食べていけない」という強迫観念があったんですね。それに気づくのに、何年もかかってしまいました。
村山由佳さん(以下、村山) その強迫観念は、高橋さんのお母さんから植え付けられたのでしょうか?
高橋 そうなんです。私自身、ちゃんと勉強する「いい子」だったので、息子の中学受験を成功させることで、自分と同じような道を歩んでくれたらいいと無意識に思っていたのです。
村山 私も表向きは、かなりいい子ぶっていて、母とのあいだに波風が立たないようにひたすら母から逃げて大人になりました。