[鹿の舟]ほかほかの炊きたてご飯。奈良だから、の朝ごはんがある場所。
空気が澄み渡って独特の静謐な表情を見せる、奈良の朝。そんな心地いい朝のひとときを、かまどで炊いた自慢のご飯と県産の食材を使ったおかずでもてなしてくれるのが、複合施設「鹿の舟」内にある、食堂『竈』だ。店内に「どん!」と鎮座する存在感たっぷりのかまどは、宇陀の職人が伝統工法で製作したもの。薪には、火が上がりやすい吉野の桧が使われているという。県内産の米は季節や収穫量などに応じ、数軒の農家と契約、かつて昭和天皇に献上されたこともある大和の「はんだ米」が食べられる日も。この米ならではの優しい味わいと大きめの粒の噛み心地を楽しませてくれる。自家専用地下水と厳選の飼料でいきいきと育った、ぷりぷりと弾力ある生卵をのせての、卵かけご飯もおすすめだ。同じく「鹿の舟」内にある『囀』は、シングルオリジンのドリップコーヒー、旬の食材を使ったランチやサンドイッチ、お菓子などを提供する喫茶室。地元で親しまれるパン工場、ブレーメンの厚切り食パンのトーストなど、土日祝だけのモーニングもチェックしておきたい。「鹿の舟」には他にも、大正初期に建てられた和洋折衷の建築を活かした観光案内や展示、イベントのスペース『繭』がある。これらの総合プロデューサーは「くるみの木」の石村由起子さん。2016年のオープン以来、奈良の伝統や生活文化を洗練されたスタイルで案内し、暮らす人、訪れる人を問わず、奈良を愛する全ての人々が集う場所となっている。