関わる人の情熱が強い地域が、最強のゆるキャラを作り出せる。(西秀一郎さん)
白米のようなニュートラルさが長く愛される作品の共通点かも!?(坂崎千春さん)
関わる人の情熱が強い地域が、最強のゆるキャラを作り出せる。(西秀一郎さん)
白米のようなニュートラルさが長く愛される作品の共通点かも!?(坂崎千春さん)
写真左から
クウネルくん
マガジンハウスの雑誌『ku:nel』のキャラクター。考案当初はスリムだったが、生活を楽しむ同誌の趣旨に合わせ「食べて寝ることが好き」な生き物として膨らませたのだそう。
Suicaのペンギン
JR東日本の交通系ICカードキャラクター。2001年、ICカード「Suica」のキャラクターとして採用され、広告、グッズなど様々なメディアに展開。いまや日本一有名なペンギン。
チーバくん
2010年、千葉県で開催された国体のマスコットとして誕生。千葉県の形をしたユニークなフォルムが話題に。現在は千葉県のキャラクターとして活躍。なお、犬ではない。
カクカク・シカジカ
ダイハツCMキャラクターとして2008年に発表。その後もシリーズとして数々のCMが放送されている。かわいい見た目とシュールな空気、シニカルさのギャップが魅力。
「Suicaのペンギン」はじめ国民的人気キャラクターを次々生み出すイラストレーターの坂崎千春さんと、「ゆるキャラグランプリ」で地方を元気にするプロデューサーの西秀一郎さん。作るプロと、盛り上げるプロが熱い談議を繰り広げます。とっておきの裏話、壮大な世界戦略構想も必読!
西秀一郎さん(以下、西) お会いできて光栄です。姪が「Suicaのペンギン」の大ファンで!
坂崎千春さん(以下、坂崎) ありがとうございます。「ゆるキャラグランプリ」も長く続けられていますね。その間に「ゆるキャラ」という言葉もすっかり定着して。
西 2011年から主催しています。単語自体はみうらじゅんさんの造語です。みうらさんと一緒に制作した番組内で「ムカエマ(むかつく絵馬の略)」など様々な“みうら語”が生まれたんですが、そのなかの一つで。
坂崎 なるほど(笑)。でもなぜそこから「ゆるキャラグランプリ」を手掛けようと思ったんですか?
西 きっかけは東日本大震災ですね。ちょうどその頃BBCの中継所として僕が東京で経営するカフェを貸していたんですが、その時BBCがとらえた映像で被災地の惨状を知って……。
坂崎 あの後はテレビCMも流れず、世間は自粛ムード一色でしたね。
西 でも「こういうつらい状況の中で自粛、自粛ばかりでいいのか?」と思って、ゆるキャラグランプリで地域復興に携わり始めた。キャラクターで地方が盛り上がる姿を見ていてすごくいいなと。以来「日本を元気に」を合言葉に続けてきたんです。
坂崎 あの頃のゆるキャラにはいわゆるプロが作るものとは別枠の、いとおしい味がありましたよね。
西 当時のキャラクターは地元の役場の人などいわゆる素人の方が作ったものが大半。平面と立体が別ものなんて当たり前でしたね(笑)。……ところで坂崎さんは子どもの時からキャラクター好きだったんですか?
坂崎 スヌーピーは大好きでした!
西 僕もスヌーピーの漫画で英語を勉強したクチです! アニメはチャーリー・ブラウンの声が谷啓さんでした。
坂崎 それは知らなかった! 漫画版は谷川俊太郎さんの訳が素晴らしかったですね。でも大きくなってからは特にキャラクター好きというわけではなかったんです。でも動物のペンギンが好きで美大生時代から描いていたら、それを絵本にしませんかとお誘いいただいて。その絵本を書店で見た広告代理店に声をかけていただき……結果、Suicaのペンギンが生まれました。
西 運命的なつながりですね!
坂崎 当時は広告のイラストとして描いたので、こんなに長く続くとは。最初は駅で見るたびこそばゆい気持ちでしたが、さすがに慣れました(笑)。
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