【紫原明子のお悩み相談】バツ2であることを恋人のご両親に打ち明けるべきでしょうか。
<お悩み>
訳あって3年前にバツ2になりました。そして今お付き合いしている彼がいます。彼は43歳バツイチ(子どもは前妻さんのところ)、とっても優しく、なんでもドーーーンと受け止めてくれる懐の深い方です。
交際半年、同棲1か月です。彼との関係はすこぶる良好、先日彼の両親と挨拶がてらお食事をしてきました。
そこで私の悩みなのですが、彼の両親に私のバツ2とその経緯を説明すべきでしょうか。説明するなら、どう切り出せばいいでしょうか。説明をしたいのですが、内容が内容なので悩んでしまいます。
ちなみに、1度目は23歳で結婚。前夫1は気分によって殴る蹴る、罵る……最終的に「これからも暴力はやめない」と言われてしまって限界を迎え離婚(私自身も対処がわからずパニックになったりと、互いに感情のコントロールが未熟でした)。
2度目は、1度目の結婚の傷がなかなか癒えないまま7年が経ち、そんな時にやさしさ溢れる人に出会い前夫2と再婚。がしかし!お付き合いの時からセックスがなく、結婚してからも一度もなく……何かがおかしいと思いながらも結婚生活を送っていましたが、ある日夫が女装している写真を発見、しかも男性のパートナーまでいたことがわかり、前夫2を責めることもできず途方に暮れ、離婚。……こんな感じです。
私はこのまま同棲してゆくゆくは事実婚、という形もいいなと思っていますが、彼が結婚を考えていること&同棲や事実婚でも彼の両親とも家族としてお付き合いができればいいなと思っているので、悩んでいます。 紫原さんの発想をお借りしたいです。よろしくお願いします。
(相談者:私もあきこ/女性/38歳、バツ2、子どもはいません。以前長年勤めていた会社から声がかかり半年前に復職、久々に再会した同僚男性と恋に落ち、現在同棲中です。)
紫原明子さんの回答
あなたもあきこでしたか。こちらも明子です、こんにちは。
……いやぁ、なんとも目まぐるしい人生を送っていらっしゃいますね。最初の夫はDV、次の夫は実はゲイで、ほかにパートナーまでいた、と。さまざまな苦しみや葛藤を乗り越えてこられたことでしょう。現在はお幸せの様子で何よりです。今回はこういったご自身の過去の話を、現在の恋人のご両親に打ち明けるべきかどうか、というお悩みですね。
これについてはやはり、ご両親がどういった考えを持った人たちか、ということを知るに尽きるのではないでしょうか。何度か会ってお話しをされてみると、保守的な人かそうではないか、子どもの人生の舵取りをきちんと子どもに委ねているかどうかといったことはわかってくるでしょうし、その間、自分の過去を伏せたり、嘘をついたりすることが心苦しいようであれば、彼からご両親のタイプを聞き出しておくというのも良いでしょう。彼の方も離婚歴があるということなので、彼が離婚することを打ち明けた際のご両親の反応がどうだったか、などを聞いてみれば、それもかなり大きな手がかりになりそうです。
とは言え、もし私があきこさんであったなら……というか私も明子なんですが相談者さんの方のあきこさんであったなら、基本的にはすべて打ち明けると思います。というのも、お話を伺う限りでは、過去2回の離婚であきこさんに後ろめたく思うべきことがあるとは思えないし、その過去を受け止めない、許せないと先方のご両親が感じられたところで、とっくに成人したいい大人であるところの息子さんが選んだ相手ですから「それは残念です」というよりほかありません。さらに万が一、ご両親の理不尽な言い分に彼の方が感化され「やっぱり付き合えない」と言い出しちゃうようなら(懐の深い方ということなのでそういうことはないとは思いますが)、もうちょっと自分軸を持ってもらわないと困るし、あきこさんの方から「いやいやこっちこそ付き合えない」と言わざるを得ないでしょう。
なにせ結婚や離婚というのは、ただでさえ人の価値観に大きく影響するライフイベントであるにも関わらず、あきこさんの場合はそこにさらに複雑なオプションが付加され、余計に稀有な体験となっています。かつてあきこさんを傷つけ、苦しめたであろうそれらも、今となっては確実にあきこさんの血肉となって、少なからず現在のあきこさんを構成する一分子となっているはずです。彼が恋に落ちた今のあきこさんは、生まれたときから今までの経験が積み重なったあきこさんで、そんなあきこさんを好きになる彼を生まれた時からある時期まで育て上げたのは他ならぬご両親なのだから、彼と同じように、ご両親もまたあきこさんを、ドーーーンと受け止めてくださるはずだと、せめて一度はその可能性を信じてみたいものだと、こちらの方の明子は思うのです。
そもそも新しい出会いというのはおしなべて自分の知らない世界を新たに垣間見せてくれるものです。私自身も人の親の端くれとして、子どもを持つことの良さの一つというのは、子どもがいなければとても知ることのできなかった世界を、子どもを通じて知ることができる、ということにある気がしています。
ですからよければぜひ、彼のご両親を信じて、思い切って懐に飛び込んでみてはいかがでしょうか。そしてもし飛び込んだ先が窮屈であったなら、これがチャンスとばかりに内側からぐいぐい彼らの世界を広げてあげたら良いと思います。バツ2が何だ!複雑な事情が何だ!と思える人を世の中に増やすことは、決してあきこさん一人だけを幸せにするに留まらず、むしろひとつの社会貢献とも呼び得るものだと、私は思います。
紫原明子● 1982年、福岡県生まれ。個人ブログが話題になり、数々のウェブ媒体などに寄稿。2人の子と暮らすシングルマザーでもある。Twitter
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