お茶は安いものでも出し方一つで、高級なお茶にまさるとも劣らぬお味が出ます――西川勢津子(家事評論家)
1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、家事の達人からお茶の楽しみかたを教わりましょう。
文・澁川祐子
お茶は安いものでも出し方一つで、高級なお茶にまさるとも劣らぬお味が出ます――西川勢津子(家事評論家)
以前、もてなし術を紹介した西川勢津子さんの連載「生活の技術」。今回は、お茶を淹れるコツを取りあげます。
「オニも十八、番茶も出花」ということわざを引き、安いお茶でも出しかた次第ではおいしくなると西川さん。ちなみにこのことわざは、オニでも18歳になればかわいらしく見え、粗末な番茶でも一番茶はおいしいという意味から転じて、器量の悪い女性でも年頃になると魅力的に見えるというたとえです。
その言葉のとおり、高いお茶は3回、4回でもおいしく味わえますが、安いお茶はあとが続かないといいます。なお、高いお茶だと一煎目は甘味、二煎目は渋味、三煎目は苦みが勝ち、それぞれ違う味わいが楽しめるとのこと。
では、安いお茶をどうしたらおいしく淹れられるかというと、大事なのはお湯の温度。安いお茶ほど高い温度で出すのがポイントだそうです。また、茶葉をこまめに入れ替えるのを億劫がらないために、茶がらを捨てやすく、洗いやすい急須を選ぶようにすすめています。
また、茶筒からお茶を移すときは茶則を使うこと、急須は玉露、煎茶、番茶、ほうじ茶と、お茶の種類によって使い分けることも推奨。このあたりは少しハードルが高く感じるかもしれませんが、お茶そのものの味はもちろん、淹れている時間も楽しみたいもの。気に入った道具を手に入れて使い込むことも、またお茶の味わいを深めてくれるということでしょう。
※肩書きは雑誌掲載時のものです。
澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。
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