くらし

GWの後味。│束芋「絵に描いた牡丹餅に触りたい」

GW、10連休が終わった。今回の連休には、皆さん、色んな思いがあったようだけれども、自営業の私は仕事の片付けなどをやっているうちに終わってしまった感がある。なんだか勿体無いなぁと思って、GW中に自分が撮った写真を見直してみると、しっかりと浮かれた感じで特別なGWを過ごしていた姿が捉えられていた。なんだ、自分も楽しんでいたんじゃないか、と、現代の機器に収められた写真を確認して客観的に理解するような現代人らしい行動に少し驚きつつ、「これこそ勿体無い!」と自分を叱咤する。

楽しいことはたくさんあったのに、その記憶を機械に保存し安心してしまった私は、大変な仕事の後処理の方をGWの後味として体に残してしまったのだ。願わくば逆にしたい。楽しくウキウキした感覚を反芻して味わい、大変だったことは、機械に保存。痛みを伴う感覚は必要な時に取り出せればいいわけで、今は忘れ去ってしまうべき。

日常的にも、「やらなくちゃいけないこと」は明確にしたくない気持ちが手伝って、ToDoリストを作らないようにしていた。でもそのせいで、何度も何度も「やらなくちゃいけない、忘れちゃいけないこと」として思い起こし、その度に苦痛カウントが増えていく。たった1つのことでも、「忘れちゃいけない」という苦痛が掛け算になって増幅する。ToDoリストに記してしまえば、それを次に確認する時まで忘れてしまってもいいし、リストの一つになることで、「しなくちゃいけないこと」が「やること」という軽いものに変わってくれる。

最近、この方法を既に実践している妹は、グッと軽やかに見える。

せっかく現代の機器に恵まれているのだから、体が覚えておく味は美味しいものだけにしておきたい。

束芋(たばいも)●現代美術家。

『クロワッサン』999号より

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