どう摂るとより効果的?「ごま」の栄養学。
撮影・黒川ひろみ 文・井上健二
ごま油のよさを活かして、 おいしくもっと健康に。
ごまから搾ったのが、ごま油。
「その約40%はオリーブオイルと同じオレイン酸で、約44%はリノール酸。オレイン酸は必須脂肪酸であるリノール酸と組み合わせて摂ることで、LDLコレステロールを穏やかに下げると考えられます」
また、ごま油には種子を焙煎してから搾った“焙煎ごま油”と、焙煎していない〝ごまサラダ油〟がある。焙煎ごま油は褐色で特有の香りがあり、ごまサラダ油は無味、無臭、無色透明な油。
「焙煎ごま油に含まれるセサモリンは、加熱により、さらに抗酸化作用の強いセサモールという物質に変わります。これはごまを炒った時と同じ。焙煎ごま油で炒め物や揚げ物などをすれば、ごまの健康効果がより高まるでしょう」
するだけでも、 実は栄養価が 変わってくる。
「ごまの小さな粒には、たんぱく質と脂質、食物繊維、ビタミンB群やEなどのビタミン、カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれています」
ビタミンEは抗酸化作用で骨と血管を守り、52ページで触れたようにカルシウムとマグネシウムは強い骨作りには欠かせない。大さじ1強のごまで、牛乳約100ml分のカルシウムが摂れるという。これらの栄養素はごまの硬い殻の中に凝縮しているので、すって殻を壊すと栄養効果が高まる。
「調理するたびにするとよいでしょう。すってから何日も置いたままにしておくと劣化が進みます」
市販のすりごまの場合は、アルミホイルで包んでから冷凍保存すると、劣化が抑えられる。
佐藤秀美(さとう・ひでみ)●学術博士(食物学)。栄養士、日本獣医生命科学大学客員教授。電機メーカーで調理機器の研究開発に従事した後、独立。美味しさと栄養の両立を追求。
『クロワッサン』997号より
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