くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】大人になってからの友達の作り方を教えてください。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は引越し先でなかなか友達ができないと悩む女性からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>
44歳の主婦、高2と中3の男子の母です。転勤族だったためこの場所で友人が少ししか居ません。いろんな努力をしてみました。学校の役員にかって出てみたり、子供の習い事でママ友を作ってみたり。バイトもやりました。
でも前にいた場所の友達より仲良くなれず、もうやり尽くした感が大きいです。
大人になってからの友人はどのような事をすれば出来るんでしょうか?
それなりには楽しいのですが爆笑し合う友達って出来ないんです。
遠くの友人が居るならいいんじゃないか、と思われるかもしれません。
でもやっぱり寂しいんです。
時折ランチもしたいし、飲み会だって爆笑して笑い合いたい。
何が足りないんでしょうか。
(きらり/ 女性 /3回転勤。44歳。パート勤務。子供は高2男子と中3男子)

山田ルイ53世さんの回答

一人のお笑い芸人としては、何がそんなにきらりさんと友人達を爆笑させたのか気になるところですが、今はさておき。
筆者は、爆笑しなくても間が持つ人間関係の方が、"友人"という気がします。
付き合ってて、"しんどくない人"とでも言えばいいでしょうか。
さらに、相談者の場合、「何かが足りない」というより、むしろその逆で、「ありあまっている」ように見えます。
「いや、この人グイグイくるなー……」
という圧を感じざるを得ません。
しんどそうです。
今まさに、あなたの周囲の人間は、そんな風に感じている……のかもしれない。

奇しくも、相談者と筆者は、同じ44歳。
正直、この年から、
「○○さんと私は、ソウルメイト!」
「私たち気が合うよねー!」
などという"ノリ"は厳しいと思います。
大体、40歳を過ぎて、仲間と肩を組み、
「ヒャーヒャッヒャッヒャ!!」
と爆笑する……それはもう、海賊の一味か何かでしょう。
あとは、株のインサイダー取引で大儲けしたとか、仮想通貨で上手くやったとか。
つまり、海賊みたいなものです。

我々くらいの年齢になれば、新たな人間関係は"足湯"くらいでも良いと思います。
自ら、友達のハードルを上げ過ぎるのはよろしくない。
加えて、人間は過去を美化するもの。
以前の友人達との交流においても、そこまでの"爆笑回"、"神回"が本当に存在したのでしょうか。
冷静に振り返ってみるべきです。
かくいう筆者も、長らく今の仕事に携わっていますが、自分の記憶では爆笑ステージだったのに、
「……そうでしたっけ?」
と芸人仲間にキョトンとされ、気まずくなるときがあります。
お恥ずかしい限りですが、とにかく、笑いも人間関係も、ハードルを下げることが肝要です。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
⇒ 公式ブログ

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