「名もなき家事」の負担感、解決法がありますか?
撮影・黒川ひろみ 文・三浦天紗子
こんな〈名もなき家事〉が負担になっています
●裏返しに脱いだ衣類・丸まったままの靴下をひっくり返す作業
●玄関で脱ぎっぱなしの靴の片づけ・靴を揃える
●トイレットペーパーの補充・交換
●服の脱ぎっぱなしを片づける・脱ぎ捨てた服を回収して洗濯カゴに入れる
●食事の献立を考える
●飲み終わったコップやペットボトル・空き缶を片づける・洗う
●子どもが散らかしたオモチャなどの片づけ
●シャンプー・洗剤・ハンドソープなどの補充・詰め替え
●資源ゴミの分別・仕分け
●お風呂や洗面台の排水溝の掃除
(大和ハウス工業のWebサイトより抜粋)
[こんなところがつらいです]
上のリストは、夫や子どもたちが家事だと思っていないような、小さな作業の一部。しかし、妻にとって本当に負担になっていたのは、大和ハウス工業が名付け親となって広まった、これら「名もなき家事」の存在でした。
「家事を分担している」という家庭でも、実は、妻の家事負担感が変わらないという声をよく聞く。それは、「名もなき家事」を妻が一人で背負っているケースが多いせい。そのストレスを軽減するには、「家事は家族でシェアするもの」という考えの徹底が大切だと、知的家事プロデューサーの本間朝子さんは言う。
「〈名もなき家事〉に含まれる家事の分担がうまくいかない原因のひとつに、女性は『察してほしい』『このくらいは言わなくてもやっておいて』と思いがちな点が挙げられます。結果、『自分がやったほうが早い』と考えてしまう。一方、男性や子どもはやろうという気持ちがあるのに、何をしていいか、どうしたら正解かがわからなくてやらないという場合も。そのためにシェアが進まない状況はもったいないですね。家族がそのうちやろうと思っていたことを自分が先回りしてしまうのは、家事を実行する負担とストレスが重なる悪循環。家族が参加しやすい仕組みを作ることがポイントです」
〈名もなき家事〉は、一つ一つは小さいけれど生活を潤滑に回すために重要なものばかり。そのスキルを家族に身につけてもらうことは、妻や母たる自分がラクするためではありません。
「セミナーでもときどきお話しするんですが、私の母が祖母の介護のためにしばらく家を離れることになったとき、家事のできない父がひとりで暮らす弊害を目の当たりにしました。父はみるみる生活が不規則になり、体調を崩してしまったのです。家事は、ひとが健康で快適に生きる能力でもあります。そういう意味でも家事スキルは家族のためにもなるのだと発想を変え、積極的にシェアしましょう」
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