【家族でシェア】夫と、家族と、時にはプロに。家事シェア、大平一枝さんの場合。
撮影・徳永 彩 文・一澤ひらり
掃除道具は見える場所に置くと断然使いやすい。
家族で家事を回すことによって、今までにない視点が生まれる。
生来、整理整頓が苦手な一枝さん。引き出しに何でもかんでも入れていくのでぐちゃぐちゃになって、家族は引っぱり出して探すハメに。でも今は燈子さんによって解消されている。
「きれいに入れ直しておくと『うわー、燈子ありがとう』ってすごく喜んでくれるので、それがうれしくてサプライズ感覚でやってます(笑)。洗濯物も一枝さんがたたむとかなりアバウトなので、パパと私でやってますし」
そんな燈子さんの片づけを見ていて、一枝さんは発見したことがあるという。
「燈子って掃除機はかけないけど、そのかわりちょっと散らかっている物をザクッと片づける。それだけで部屋が見違えるようにきれいになるんですよ。私は掃除機までちゃんとかけて掃除だと思っているところがあって、そうするといつまでも重い腰が上がらないんです(笑)。でも娘のようにとりあえず目に見える範囲を片づけるだけで心地よくなる。そうか、これでいいんだって気づかされました」
家事をひとりでしていると我流になりがちだが、家族が参加することで新たなやり方が生まれて生活がスムーズに回っていく、と一枝さん。
「洗面所の掃除も娘と私でやっているんですけど、すぐ掃除ができるように道具は見える場所に置いてあるんです。気がついたらササッとやりやすいじゃないですか。さらに、掃除道具が猫の形のスポンジみたいに可愛いものだとやる気が出ますよね」
家族との家事シェアで一番大事なのは、このやる気を出させること。
「これやって、あれやってはシェアじゃないと思うんです。親だとつい命令口調で押しつけがちだけど、同じ屋根の下で暮らすなら、お互い気持ちよく家事をシェアしていきたいですよね」
大平一枝(おおだいら・かずえ)●文筆業。大量生産・大量消費の対岸に生きる人々のライフスタイルなどを執筆。著書に『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』(大和書房)など多数。
『クロワッサン』991号より
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