最後のチャンスだと思い応募。64歳で念願のカフェを開業。
それから数十年が経ち、この団地にも少子高齢化の波が。50代になった佐竹さんが見かけるようになったのが、ひっそりとした団地の広場のベンチに一日中ポツンと座っている高齢者の姿。
「商店街も高齢化で閉めた店が多く、入る店もない。『何とかしたい』と思い、ここで誰もが気軽に寄ってお喋りできるカフェを作りたいと思いました」
以後、資金を貯め、行政のセミナーで創業補助金の受け方や事業計画書の書き方を勉強し、準備を始める。一度、59歳のときにこの商店街でカフェ開業の仮契約を行ったが、介護のため断念。転機は’15年、団地を管理する神奈川県住宅供給公社が補助し、商店街にコミュニティカフェを開く参画者の募集。「最後のチャンスだ」と応募し、64歳で念願のカフェをオープンさせた。
昨年は商店街にある子ども食堂の発起人にもなる。さらに、「うちのお客さんは平均80代で、近い将来、ここを“みんなの台所”のようにして大人食堂もやりたいと思っています」。
多彩なアイデアはどこから生まれるのかと聞くと、「面白いと思う人がいると直接会いに行き、『うちのイベントに出てみませんか?』と声をかけるからでしょうね(笑)。すると、また『こんな人がいるよ』とつながる。だから今、毎日がとても楽しい。“人をつなげていく役割”を楽しませてもらっています」。