くらし

【佐竹輝子さん】50代、60代で起業し、“自分のやりたかったこと”を実現。

50代、60代になって、第2の人生に向け、年齢に関係なく働くことを選択する人も。老後の家計ややりがいのためにも、その策を考えたい。
  • 撮影・黒川ひろみ イラストレーション・小池ふみ 文・小沢緑子

“人と人をつなげる役割”を 楽しませてもらっています。

佐竹輝子さん

3年前、64歳で神奈川県相模原市南区にある相武台団地のシャッター街化した商店街に、コミュニティカフェを起業した佐竹輝子さん。1階のカフェでは老若男女が楽しめるライブを毎月行い、2階はカルチャー教室に。店の前の広場では、春はハワイアンフェスタ、秋には秋楽祭というイベントを開き、地域の人が集まる場となっている。

この団地は、地元で育ち結婚した佐竹さんにとって思い入れのある場所だ。

「子育てをしている当時、団地の広場に行くと子どもたちの遊ぶ声が響き、お母さんがにぎやかに立ち話をしていて、その光景が青春の1ページのように今もキラキラと残っているんです」

左がカフェ。引き戸を開けるとオープンになる心地のいい空間。
カウンターには、佐竹さん手作りのスコーンやキッシュが並ぶ。
春に開くハワイアンフェスタでは、フラダンスのステージも。
左がカフェ。引き戸を開けるとオープンになる心地のいい空間。
カウンターには、佐竹さん手作りのスコーンやキッシュが並ぶ。
春に開くハワイアンフェスタでは、フラダンスのステージも。

最後のチャンスだと思い応募。64歳で念願のカフェを開業。

それから数十年が経ち、この団地にも少子高齢化の波が。50代になった佐竹さんが見かけるようになったのが、ひっそりとした団地の広場のベンチに一日中ポツンと座っている高齢者の姿。

「商店街も高齢化で閉めた店が多く、入る店もない。『何とかしたい』と思い、ここで誰もが気軽に寄ってお喋りできるカフェを作りたいと思いました」

以後、資金を貯め、行政のセミナーで創業補助金の受け方や事業計画書の書き方を勉強し、準備を始める。一度、59歳のときにこの商店街でカフェ開業の仮契約を行ったが、介護のため断念。転機は’15年、団地を管理する神奈川県住宅供給公社が補助し、商店街にコミュニティカフェを開く参画者の募集。「最後のチャンスだ」と応募し、64歳で念願のカフェをオープンさせた。

昨年は商店街にある子ども食堂の発起人にもなる。さらに、「うちのお客さんは平均80代で、近い将来、ここを“みんなの台所”のようにして大人食堂もやりたいと思っています」。

多彩なアイデアはどこから生まれるのかと聞くと、「面白いと思う人がいると直接会いに行き、『うちのイベントに出てみませんか?』と声をかけるからでしょうね(笑)。すると、また『こんな人がいるよ』とつながる。だから今、毎日がとても楽しい。“人をつなげていく役割”を楽しませてもらっています」。

佐竹輝子さんの人生年表

《18歳》
高校卒業後に、地元相模原市で結婚。専業主婦になり子育てに専念。

《33歳》
座間の米軍会計事務所に勤務。

《50歳》
少子高齢化で寂しくなる相武台団地と商店街を見て、「ここでカフェを開き、お年寄りも気軽に寄れる憩いの場を作りたい」と考える。

《55歳》
カフェ開業を本格的に考え始め、勉強と準備を始める。

《59歳》
相武台団地の商店街でカフェ開業の仮契約まで行うが、義母、続いて夫の介護をするために断念。カフェを開く夢を一度諦める。
長年務めた米軍会計事務所を早期退職。

《64歳》
2015年9月、神奈川県住宅供給公社による相武台団地商店街の空き店舗を活用した、地域活性化事業「グリーンラウンジ・プロジェクト」の公募にエントリー。
同年12月、コミュニティカフェ「ひばりカフェ」を起業。

現在67歳、カフェ+散歩途中に気軽に寄れるカルチャー教室+地域活性のイベント開催のアイデアで起業3年目。

佐竹輝子(さたけ・てるこ)●「ひばりカフェ」オーナー。「少しずつですが、団地の商店街に昔のようなにぎわいが戻ってきた実感があります」。自身の体験を通して、地域活性化の講演なども行う。

『クロワッサン』990号より

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