【光熱費編】よかれと思っていたその節約術、実は逆効果かもしれません。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・柿崎サラ 文・小沢緑子
見ていないときのテレビは 短い間でも電源を切る。→◯
「テレビの前から人が離れると映像だけ消えるセンサー付きの製品がありますが、テレビは、見ないときは電源を切る。消費電力のほとんどはテレビ画面を照らすバックライトなので、消せばそれだけ電気代が抑えられます」
たとえば1日1時間テレビ(32V型)を見る時間が減ると、年間約450円の節約に。
「また、テレビ画面の明るさは、部屋の明るさに合わせて調整することも電気代の節約に。最適な輝度に調整してくれるセンサーを搭載した製品なら必ずオンにしましょう」
家電は待機電力が心配だから、 使わないときはプラグを抜く。→×
「最近の省エネ性能が高い家電は、待機電力がほぼかかりません。テレビの場合、昔のブラウン管タイプは年間1,000円くらいかかるものがありましたが、今の液晶テレビは、かかっても年間20〜30円のレベル。プラグを一生懸命抜いても、労力の割に消費電力は変わらないので気にしなくていいと思います」
一方、待機電力が比較的かかるのは、AV機器やエアコンなど、リモコンを使って操作する製品。
「でも、タイマー予約をしているAV機器などは、プラグを抜くことは難しい。エアコンも通常使用している時期に頻繁にプラグを抜くと、故障の原因にもなります。“何カ月も留守にするなど使わない時期が長いなら抜く”程度でいいと思います」
スマホは常に充電する。→×
「スマホの充電器はプラグをコンセントに挿したままでも、待機電力はほぼかかりません。端末を挿してフル充電したときの電気代も0・数円しかかかりませんので、電気代はあまり気にしなくてもいいでしょう」
ただし、常にスマホの端末を充電器に挿したままの状態が続くのはよくない。電池量が100%の満タン状態がいつまでも続けば、バッテリーの劣化につながり、交換時期が早まってしまう可能性も。
「電池残量がゼロに落ちてから充電するのも、バッテリーに余計な負荷がかかる原因になります。バッテリーを長持ちさせるためには、電池残量が半分以下になる→充電→電池量100%になったら充電器をすぐ抜く、という使い方が一番です」
お湯は少量でもその都度、 ガスコンロで沸かす。→×
「コーヒーカップ1杯程度の少量のお湯を沸かすなら、電気ケトルを使うか、電子レンジで加熱したほうが安上がりになります。なぜかというとガスコンロでお湯を沸かす場合は、どうしてもやかんや鍋の周りから熱が逃げていくロスが発生します。水量が多い場合はいいのですが、水量が少ない場合の熱効率は悪く、ガスがムダになる率が高いため料金もかさみます」
カップ1杯分の湯を沸かすときの電気代は、電気ケトルの人気機種は約0・5円、電子レンジは約0・3円で済む。
エアコンは扇風機や サーキュレーターと併用。→◯
「サーキュレーターや扇風機の電気代は、1時間あたり0・数円と微々たるものなので併用したほうがいいと思います。その分、エアコンの暖房設定温度を1度でも2度でも低くすれば、さらに電気代が節約できます」
温かい空気は冷たい空気より軽く、天井付近にたまるので、サーキュレーターや扇風機は天井の中央に向ける。すると、部屋全体の空気がかき回され、上下の寒暖差が小さくなるため、部屋全体が効率よく暖まる。ちなみに扇風機よりサーキュレーターのほうが直線的に遠くまで届く風を起こし、より部屋の空気が撹拌される。
「部屋が乾燥すると体感温度が下がるので、加湿も忘れずに。いっそう暖かく感じられるようになるはずです」
和田由貴(わだ・ゆうき)●節約アドバイザー。TV番組や雑誌、講演会などで、”節約は無理しないで楽しく”をモットーに、快適でひと工夫のある節約術を提案。
『クロワッサン』990号より