「子育てが一段落して、時間的に余裕が少し生まれたからでしょうか。最近ようやく家計のどこを見直すかを考えることができるようになってきました」
静岡・沼津で雑貨店『hal(ハル)』を営む後藤由紀子さんは昨年『50歳からの 暮らしの整え方』という著書を出版。人生の後半に向けて、衣食住への考え方や、お金とどう向き合うかをファイナンシャルプランナーの意見も参考にしながら一冊にまとめた。
「我が家は夫も自営業(庭師)で退職金がないですから、ふたりとも元気なうちに老後の蓄えについて考えておくことが大事だと思ったんです。贅沢したいわけでもないですが、ケチケチするのもいやです。身の丈に合った暮らしをするためのお金の準備を続けていく方法を探してみました」
子どもの独立後をにらんで毎月13万円を貯蓄に。
26歳で結婚した後藤さんは、28歳で長男を、30歳で長女を出産。子どもたちが小学校に上がるまでは専業主婦として、夫の収入でやりくりをしていた。
「その頃は、子どもふたりの幼稚園代に月に8万円ほどかかるなど自由に使えるお金も時間もなく、地味に暮らしてました(笑)」
そんな日々を送るなかで子どもたちは成長。後藤家の家計は住宅ローンや光熱費などの固定費は夫の収入で。雑貨店を始めた後藤さんの収入では家族での国内旅行やお歳暮などの交際費を、と役割が決まってきた。さらに5年前からは定期預金も始め、現在では毎月13万円を貯蓄に回せるように。
「子どもが独立したら、夫婦で旅行もしたいですし、習い事などもしたいと思っています。そのためには今から備えておこうかと。ただ、基本的には毎日おいしいごはんを食べられれば、あとのことは“そこそこ”でも大丈夫なので無理はしないつもりです(笑)」
後藤さんが毎日の食で長年活用しているのは、自宅からほど近い産直の店。採れたての食材が、お値打ちで購入できるという。
「今の時季なら旬の白菜が70円で売っていたりします。あれこれ見ながら山ほど買っても1000円もいかないですし、家に帰って作り置きを考えながら下ごしらえするのも楽しい。私って安い女だなと思いつつ満足しています(笑)」