くらし

卓越した技術で描かれた 緻密な原画を堪能する。 『魔夜峰央 原画展』

  • 撮影・土佐麻理子
主人公・アスタロトは、魔夜さんのお気に入りのキャラクターだという。/『アスタロト』 第1話より 1991年 (C)魔夜峰央/秋田書店

少女漫画の世界に斬新なギャグを取り入れ、今も多くの作品を描き続ける魔夜峰央さん。デビュー45周年と国民的な作品とも呼べる『パタリロ!』100巻刊行を記念した本展では、緻密で美しい原画が楽しめる。

「描きこみの量がすごいですし、線一本にも乱れがない。ロボットかと思うほど、どこにもムラがないんです」。そう話すのは魔夜さんの長女で自身も漫画家としてデビューしたばかりの山田マリエさん。

「魔夜のような高度なアナログ技術は身内であっても真似ることはできないので、私はデジタル派なんです」

単行本10巻に収録。いちばん上のコマに描かれているのは魔夜自身。/『パタリロ!』 「プラズマ・パパ」より 1982年 (C)魔夜峰央/白泉社

本展は4つの会期に分けられ、2019年1月14日までは魔夜作品のなかの美少年、美青年の原画を特集する。

「『怪奇生花店』は魔夜の初期の作品ですが、子どものころに見たときから色気のある美しい絵だなと思いました。『アスタロト』は、もともと人間を惑わす悪魔キャラなので、美形じゃないと許されない。絵も本当にきれいですね。たぶん、魔夜は黒髪パッツンの髪形の女性が好きなんだと思います(笑)」

当時は一人で全ページを描き、何度もベタ塗りを重ねたという。/『怪奇生花店』より 1978年 (C)魔夜峰央/白泉社

『パタリロ!』の主要キャラクターである美カップルのバンコランとマライヒが登場するシーンの原画も見られるほか、会場ではこれまで刊行された全単行本も展示されるなど、魔夜さんの画業が一望できる内容だ。

「『パタリロ!』のようなギャグを入れた少年漫画を続けることができるのも、元となる絵の美しさがあるからこその芸だと思っています。パタリロの後頭部を描く華麗な線なども今回の原画展で見てほしいですね」

『魔夜峰央 原画展』
明治大学 米沢嘉博記念図書館 ~2019年2月11日(月・祝)
明治大学 米沢嘉博記念図書館(東京都千代田区神田猿楽町1-7-1)電話番号03-3296-4554 14時~20時(月・金曜)、12時~18時(土・日曜、祝日) 火・水・木曜、12月25日~’19年1月10日休館 無料 ’19年1月18日~2月11日は、ミーちゃん(魔夜峰央)特集を開催。

山田マリエさん
やまだ・まりえ 漫画家
11月14日に素敵で不思議な魔夜家の日常を描いた初単行本『魔夜の娘はお腐り申しあげて』(小学館)を刊行。

『クロワッサン』987号より

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