【正月準備編】正月を豊かにする、暮らしの風習。
行事が多い正月。煩わしいと感じる前に本来の意味を知り、今の暮らしに適した準備や過ごし方で楽しむ方法を、研究家に聞いた。
撮影・広田行正 文・大澤はつ江
4. 恵方の場所を磨く。
福徳を司る神様が来臨する恵方を清める。
恵方とは吉方ともいい、その年の福徳を司る神が来臨する方向をさす。2019年は「東北東」になる。
「お正月の神様がいらっしゃる方向を念入りに磨いて、場を清めておくことで、神様に気持ちよくおいでいただき、福をありがたく頂戴する。場を清めることは、それを行う自身の身も清められていくことにもなりますから、心を込めて行いたいですね。仕上げは清潔な布で拭き上げてください」
5. 道具飾りをする。
一年間よく働いてくれた道具に感謝を込めて飾りを。
もともとは一年間使った鎌や鋤、鍬といった農具をきれいに清め、感謝の意を込めてお飾りをし、翌年の豊作を願ったのが道具飾りの由来。
「我が家では、台所で使った道具類に感謝を込めてお飾りをします。上新粉を水で練って丸め、蒸したら平たく成形します。稲わらをった縄を、餅の上部に開けた穴に通し、最後に松や南天、稲穂などをあしらってお供えします。台所の柱や食器棚、洗面所にも飾ります」
広田千悦子(ひろた・ちえこ)●日本の行事・歳時記研究家。 http://hirotachieko.com
『クロワッサン』987号より
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