「フェルメール展」来日する作品は、ここを見逃さないで!【美術評論家のワンポイント解説付き】
東京展、大阪展、それぞれで公開される絵は? 見どころを押さえておけば楽しみも倍増。美術評論家の千足伸行さんのワンポイント解説もぜひ参考に。
監修・千足伸行(成城大学名誉教授、広島県立美術館館長) 文・石飛カノ コラム取材協力・吉野敏彦(『フジテレビジョン』シニアプロデューサー)
【1/35】牛乳を注ぐ女
台所で牛乳を注ぐことに没頭する女性、というごくありふれた日常の所作を描いた作品。
20代の頃に描いたものだが、フェルメールの特徴的な色使い、青と黄色、赤の三原色の対比の鮮やかさに目を奪われる。青はもちろん、ラピスラズリのフェルメールブルー。
「やわらかな光に照らされた室内に佇む単身の女性」というのもフェルメールが好んで描いた構図。細かい粒子で構成された光の描写も見られる、フェルメールの代表作のひとつ。
配色と絶妙の構図に注目。
「青と黄色といういかにもフェルメールらしい色が使われています。そして、絵の中に描かれている人物は1人。牛乳を注ぐことに神経を集中させている無心の様がリアリティを感じさせます。構図という点では、人物を少しでも右か左にずらすと絵のバランスがガタッと崩れてしまいます。ここしかないという構図です」(千足伸行さん)
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