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【買い物編】家計のためのその節約、むしろ損している?

買い物や家電の使い方を工夫しているつもりが、実は節約にならないことを、節約アドバイザーの丸山晴美さんが指摘します。

撮影・青木和義 文・小沢緑子

《NG》年に数回の我が家のイベント。アウトレットで服の買い出し。

「そもそも節約をしたいのに、週末にレジャー代わりに、それも家族揃って買い物に行くのはNGです。来たからには何か買わないと帰れない!(笑)とばかりに妙なハイテンションになって、予定になかったものまでどんどん買ってしまいがちですから」
また、アウトレットにある商品がすべて、定価から何割も値引きされたお買い得品とは限らないとも言う。
「正規品だったもの以外に、品揃えをよくするためにアウトレット専用に作られた安い商品も置いています。値札に何%オフの値引率がシールでも手書きでも、後から記されていないものは廉価版の可能性が大。同じ商品がたくさん並んでいるものも、アウトレット専用の量産品であることが多いです」

《NG》いつも飲むお酒は、ネットで安くまとめ買いします。

「インターネットでのケース売りだと、コンビニでのバラ売りより、かなり安くなることが多いです。でも、安かったからと言いわけしながら、つい飲む本数が増える“まとめ買いの罠”にはまりがち。お金は貯まらず脂肪だけ溜まる結果に。飲む分だけその都度買ったほうが、トータルでは節約できます」
また、ネットショッピングの場合、すぐに買わずに、一度冷静になろう。
「ネットの場合、金額を数字だけで見ているので現実感がなくなり、財布の紐がいつもより緩くなる傾向が。注文前に一度、その金額を財布から実際に出してみて、本当にこの金額で買ってよいのか自分の中で確認を。私は普段、ネットでの5000円以上の買い物は、カートに入れてもいったん保留。何日か経って忘れていたら、必要ないと判断して買わないようにしています」

《NG》プルコギやサーモンのまとめ買い、おいしいし安いし最高!

「会員制大型スーパーや業務スーパーは人気ですが、大家族以外、本当に節約できるか疑問に思うことが。たとえば、1kg以上のプルコギやサーモンなどの大容量パックを買っても、結局飽きてムダにすることも。まとめ買いするなら、鶏胸肉など基本の原材料を買って料理に使い回すのが正解です」
安く買えること=節約とはくれぐれも思わないように。
「普通のスーパーでも3パックで1000円だとお得に感じますが、使い切れないと思ったら1パックだけ買い、出費を少しでも減らしましょう」

《NG》シャンプーも洗剤も、詰め替えることで環境にもお財布にも優しい。

シャンプー、トリートメント、洗剤も、同じ商品ならボトル入りより、詰め替え用のほうが安いし、ゴミを減らせてエコにもなると思いがち。
「詰め替え用すべての価格が安くてお得とは限りません。詰め替え用の容量は、ボトル入りより1〜1.5割ほど少ないことが多い。新規のお客さんに買ってもらうために、ボトル入りのほうの価格を安く設定している場合も多いので、容量はよく見ること」
また、最近は大容量パックも多く、よりお得に思いがちだが、たとえば、某ドラッグストアだと、とある洗濯用液体洗剤ボトル入りが910gで427円、特大詰め替え用1026gで554円だった場合、1g当たりに換算するとボトル入りが約0.4円に対し、詰め替え用は約0.5円。
「わずかな違いですが、価格だけではなく、1g当たりの価格まで計算して買いましょう」

《NG》ペットボトルの水を買うより、ウォーターサーバーが賢いはず。

ボタンを押せばいつでも冷水と温水が出てきて便利なウォーターサーバー。
「まず認識してほしいのが、ウォーターサーバー=冷却、保冷、加温、保温を同時に行う給水給湯器だということ。サーバーを維持するための電気代がかかります。電源は24時間つけっぱなしが基本で、常に水を冷却して冷水を保つための電力と、水を加熱して温水を保温する電力がかかり、月1000円くらいがかかります」
さらに、サーバーのレンタル代や1本当たり1000〜2000円くらいの専用水タンク代なども定期的にかかってくる。
「冷水はペットボトルや浄水器の水を冷蔵庫で冷やせば、電気代は最小限に。お湯は沸かすだけの電気ケトルがおすすめ。コーヒーカップ1杯分がわずか50秒などの短時間で沸かせますし、保温機能がついていない分、消費電力が少なくなります」

《NG》商品5%オフデーも、ポイント5倍デーでもお得度は同じ。

「ポイント〇倍デーはお得な気がしますが、換算率で差が出てきますから、実際にいくら得するか一度計算を」
たとえば、商品価格が1000円の場合、5%割引だと950円+消費税76円=合計1026円の支払いに。一方、ポイント5倍デー(100円で1ポイントとする)の場合は、1000円+消費税80円=合計1080円の支払いとなるが、ポイントが10P×5倍=合計50P=50円分となり、実質的には1080円−50円=1030円に。よって、ポイント5倍デーより、商品5%割引のほうが4円分得をする計算になる。
「気をつけたいのは、何千円以上買うとポイントが何倍になる、条件付きの場合。なるべく出費を抑えるのが節約の基本。ポイントを稼ぐために頑張って買ってしまうのは本末転倒です」

《NG》飲み放題って、いろいろな種類をたくさん飲めて、お得で楽しい。

「飲み放題は雰囲気を楽しみたいならいいのですが、元をとるのは大変。たとえばメロンソーダなどの濃縮シロップ液を炭酸で割ると1杯当たり約6〜10円。お酒もカクテルの濃縮液を炭酸で割ると1杯当たり約20〜50円です」
比較的原価が高いのは、ソフトドリンクなら果実使用のジュースの約20〜30円、お酒なら生ビールの約150円。
「原価を考えると飲み物1杯無料などのクーポン券も考えもの。つられて行くとそれ以上の出費になりますから」

参考資料:「家庭の省エネ徹底ガイド 春夏秋冬 2017」(資源エネルギー庁)、「家庭の省エネハンドブック」(東京都地球温暖化防止活動推進センター)。

丸山晴美(まるやま・はるみ)●節約アドバイザー、FP、消費生活アドバイザーとして、TVや雑誌などで活躍。身の回りのお金の話をわかりやすく解説した著書多数。

『クロワッサン』980号より

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