くらし

景色が見えて、物語があって、ときには甘い体臭まで感じる歌。イル・ディーヴォ来日公演

  • 文・神舘和典
クラシック、ポップ、ラテンなど、世界中の音楽をクロスオーバーするイル・ディーヴォ。

4人編成の“イケメン”ヴォーカル・グループ、イル・ディーヴォが9月に6度目の来日公演を行う。アメリカ人のデイヴィッド(テノール)、フランス人のセバスチャン(テノール)、スイス人のウルス(テノール)、スペイン人のカルロス(バリトン)は4人とも甘く濃ーい声とマスクだ。

今回は新作『タイムレス』のリリースとともにスタートしたワールドツアー。アルバムでは、アデルの「ハロー」、バーブラ・ストライサンドの「追憶」、チャールズ・チャップリンの「スマイル」など、名曲を10曲熱唱している。時代や世代を超えて聴き継がれる、エヴァーグリーンになる曲は、歌や演奏から景色が見える。物語がある。さらに、こうした楽曲をイル・ディーヴォが歌うと、温度や湿度、ときには体臭までも感じさせられる。暑苦しいほどの高体温、高湿度が、この人たちの魅力だ。

『タイムレス』 ソニーミュージック 3,000円(税込み)。「スマイル」「オール・オブ・ミー」「この素晴らしき世界」など10曲収録。

ライヴパフォーマンスではさらに彼らの濃さが増す。

「新曲も過去のヒット曲も歌う予定です。ダンスもやります。イル・ディーヴォ史上最高の公演です」

セバスチャンは自信を見せる。濃いアレンジと演出で、生々しいステージが期待できそうだ。

「アメリカ映画『ある愛の詩』のテーマ曲は、あえてイタリア語の歌詞にしました。この曲は終盤にかけてとてもドラマティックに、情熱的に、感情をこめて歌い上げています」

とは、ウルス。『タイムレス』で聴く限り、「ある愛の詩」は、オペラのエンディングのようにダイナミック。過剰に感じるほど。それが作品に対する彼らの解釈なのだろう。この過剰さもイル・ディーヴォの個性。圧倒的な熱量で迫ってくる。そして、イタリア語であることで、さらに音楽が濃密になっている。

このような熱量の多いアーティストには熱量の多いファンが集まる。来日の日は毎回、空港のゲートに数千人が押し寄せる。その熱はアーティストに伝わり、ステージから客席へと還元される。熱が熱を呼び、さらに熱を高くする。音楽の高温化のスパイラルだ。仙台から福岡まで、今年はまだ夏の暑さが残っていそうな各都市で、イル・ディーヴォ版エヴァーグリーンを体験したい。

9月18〜21日 東京・日本武道館、23日セビオアリーナ仙台、26〜28日 大阪・オリックス劇場、29日 広島上野学園ホール、10月1日 福岡サンパレス ホテル&ホール、3日ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)。S席1万5000円、A席1万3000円ほか。
問合せ:ウドー音楽事務所 電話番号03-3402-5999 http://udo.jp/

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