『昔と変わらない、あいかわらずの豊川悦司』「半分、青い。」脚本家北川悦吏子インタビューVol.3 | アートとカルチャー | クロワッサン オンライン
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『昔と変わらない、あいかわらずの豊川悦司』「半分、青い。」脚本家北川悦吏子インタビューVol.3

視聴率20%超えの話題のNHK連続テレビ小説、「半分、青い。」(NHK総合/月曜~土曜あさ8時))が9月29日に最終回を迎えます。
クランクアップ後、脚本を手がけた北川悦吏子さんがメディアの合同取材に応じてくれました。クロワッサン オンラインでは最終回までに3回に渡り、北川先生のインタビューをお届けします。最終回直前、第3回目はヒロインの楡野鈴愛(永野芽郁)と、大人気キャラクター秋風羽織(豊川悦司)についての想いを伺いました。

秋風羽織は北川悦吏子の分身?

写真提供=NHK

「豊川さんとは33歳くらいの時「愛していると言ってくれ」ではじめてご一緒して、ふたりで役柄について侃々諤々とやり合っていました。
豊川さんは役にのめり込むタイプで、当時はそんな豊川さんに寄り添いたいと思っていたんです。

時は流れて、朝ドラでご一緒することになって、朝ドラだし、お互い年も年だし(笑)。以前よりは丸くなっているかな、と思ったら。33歳の時と同じテンションで一緒に秋風羽織を作り上げていってくれました。いやあ、人は変わらないと思いましたね(笑)。

でも、楽しかったです。あの秋風羽織のビジュアルは豊川さんが考えて、まず私に話してくれて、爆笑しました。モデルがいます。言えないんだけど。
秋風羽織には思い入れが深くて、彼のビジュアルを借りて、私のクリエイターとしての思いが、確信に満ちていくようなところがありました。

あんなにかっこいい豊川悦司が振り切って、一見、妙な漫画家、秋風羽織を演じてくれて。
しかも秋風羽織の集中が途切れないように、撮影中はNHKに近い渋谷のホテルに住んでいたそうです。あいかわらず役に対する思い、役者としての完璧主義は変わらない豊川悦司でした。そうして、秋風羽織は人気者になっていきました。

もう、このテンションでやるのは無理かな? と思っていたのですが、終わった時に豊川さんから、腰骨が折れるか、というほどの強い強いハグと(笑)、『還暦になる前に、一本やろうよ』というお言葉をいただきました。お互い、同級生なんです。まだ、懲りてないのかと思いつつ(笑)、すごく嬉しかったです」

写真提供=NHK

忘れられない顔をする女優・永野芽郁。

写真提供=NHK

「左耳を失聴しても、漫画家としての才能がなくても、それでも幸せな生き方があるよね、という強いメッセージが自分の中にあって、それを伝えて体現する人が鈴愛というキャラクターでした。

脚本を書きながら一人で地獄だ、と思っていたんですが、このドラマで毎朝出演しているのは、(永野)芽郁ちゃんだし、毎日書いているのは私。私たちふたりの名前がオープニングでクレジットされない日はないわけです(笑)。156日。

同士や戦友のような意識で見ていました。

芽郁ちゃん自身も、途中で笑えなくなったり、不安で眠れず泣いた夜もあったり、家に帰っても鈴愛が抜けないと言っていて。18才の若さでこの重圧をよく耐えてきたと思います。タフなだけではあの感受性豊かな演技はできないです。彼女はずっと集中してお芝居をしてくれていました。

芽郁ちゃんの演技で特に思い出すのは、東京・胸騒ぎ編の第13週「仕事が欲しい!」で鈴愛が漫画をかけなくなった時の顔です。

仲間のボクテやユーコに当たり散らして、ひどいセリフも言って。そのセリフのト書きに私は、『イっちゃってる顔』って書いていたんです。芽郁ちゃんそんな顔したことがないから、困ったみたいなんですが、いざテレビで見たら、そのシーンの芽郁ちゃんの顔は見ていて苦しくなるほどの表情で。でもあの顔の演技を見て、本当にすごい女優さんだと思いました。絶対に忘れられません。

東京・胸騒ぎ編はあまりにも特殊な漫画家、物語を作るクリエイターの話に寄りすぎてしまったし、長く書きすぎかな? と思っていましたが、(自分自身)熱い気持ちで書けたし、芽郁ちゃんをはじめ、豊川さんたちにも熱を持って演じてもらいました。

視聴者の方にも熱心に見てもらえて、私の訴えるものを感じ取ってもらえたのではないかと思います」

写真提供=NHK

北川悦吏子の今の欲望は……。

そして「半分、青い。」では主人公鈴愛の感情と欲望がサブタイトルになっているが、脚本を書き上げたばかりの北川さんの心境をサブタイトルに入れるのなら、という質問に、

「『書きたくない!』かなぁ(笑)。はじめての否定形タイトルだね(笑)」

と言い、会場の笑いを誘ったあと、

「今はまた書きたいと思える日が来るのを信じて待っています。
『また書きたい!』にしてください」

とチャーミングに答えた。

いよいよ明日は最終回。
半分、さみしさ。と、半分、楽しみ。の気持ちでテレビの前にスタンバイしましょう。

【番組情報】
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)
月曜~土曜 あさ8時から(NHK総合) ほか
https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/index.html

撮影/萩庭桂太

北川悦吏子(きたがわ えりこ)

1961(昭和36)年12月24日生まれ。脚本家・映画監督。
1992(平成4)年に「素顔のままで」で連続ドラマデビュー。主な作品に、社会現象となった「愛していると言ってくれ」「ロングバケーション」。そして、「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」など。2009(平成21)年には、映画の世界にも進出し、脚本監督作品に「ハルフウェイ」「新しい靴を買わなくちゃ」。活動は多岐に渡り、エッセイや作詞などでも、人気を集める。NHKでの執筆は、2016(平成28)年ドラマ10「運命に、似た恋」が初。今作が2作目となる。


『秋風羽織の教え 人生は半分、青い。』

— 秋風羽織 著 北川悦吏子 著
定価:1,404円 (税込)

「半分、青い。」でヒロイン・楡野鈴愛の漫画の師匠として登場し、数々の名言を残した秋風羽織本人を独占・密着取材!
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