「魂抜けています!」
現在、全話を書き上げた率直な感想を聞かれた北川さんは、笑顔で記者の質問に答えた。
「15分×156話を書くということはもちろん覚悟していましたし、脚本家仲間の間でも、朝ドラは脚本家にとって、最も大変な仕事だと言われています。
『やりたい』という気持ちだけではじめましたが、こんなに大変か、と」
先ほどの笑顔とは打って変わって、朝ドラの脚本の大変さを吐露。
「連続ドラマや映画の脚本とは全く違うノウハウで、朝ドラを生み出すためのワザを、試行錯誤しながら編み出し続けていた1年半でもありました。すごい経験をさせてもらったな、と思っています。
1話につき、3日間しか執筆の猶予がなく、1日目と2日目は追い詰められて、どうするんだろうって思う瞬間がなんどもあって。
それこそ漫画を書いていた頃の鈴愛(すずめ)のように、毎日、クリームたっぷりの甘いものをガーッと食べて、そう、まるで、F1レーサーがタイヤ交換するみたいに、糖質を補給し、執筆していました。
極限状態です。いつクラッシュしてもおかしくない、というところまで追い込まれます。容赦なく。それでも三日に一本書けるか。自分に、どこまで才能があるか試されている。尋常ではない日々でした」
と語り、取材陣を驚かせました。