【貴重品や宝物の見直し編】こんどこそ捨てられるように! いる・いらないの即決術。
撮影・岡本 潔 文・大澤千穂
和服は畳んでたとう紙に包み、押入れの上に2列で収納(下写真)。左が春夏用の単衣で、右が秋冬用の袷。しかし単衣の下の紙製の収納ボックスが歪み、着物の層も崩れつつある。いつ〝なだれ〟が起きてもおかしくない。
「そうなる前に、少しでもカサを減らしてベースを補強しましょう。和服は貴重品ですが、新しいものが欲しいなら手放せるものは手放して、スペースを確保する必要があります」
と金子さん。初めは、「処分できるものなんてあるかしら」と首をかしげる田中さんだったが、実際に一着一着を広げてみると、ネット通販で買ったけどイメージと違っていたものなど「いらない」と言い切れる品もいくつか。
「正絹など上質な和服はリサイクルショップで値がつくこともありますし、お友だちに譲っても。一方で、ご家族から譲り受けた品など着る機会がなくても残すべき一着は、一番下の層を『自分の蔵』と割り切って保管場所にするのもいいと思います」
金子さんの現実的な提案に、田中さんも次第に納得した様子。歪んだ紙製の収納ボックスをプラスチック製に交換。その上に厳選した品々を重ねていく。隣の列と土台の高さが揃い、その上の着物の層も安定した。活躍頻度の高い着物を上の層に収めていくことで使い勝手も格段に向上。無理に下の層から引き抜くことがなくなれば、なだれのリスクもさらに減る。
「今後は一目で中身がわかるよう、たとう紙の上にラベリングするといいですね。例えば『浴衣・紺色』など簡単な特徴を書いておくだけでも、探す手間がなくなりますよ」
⇒物置スペースも片付け編に続きます。
田中ひろみ(たなか・ひろみ)●イラストレーター、文筆家。全国の仏像に精通。『ペンでなぞるだけ写仏 一日一仏』(講談社)、『東海仏像めぐり』(ウェッジ)ほか、著書多数。
金子由紀子(かねこ・ゆきこ)●シンプルライフアドバイザー。無理なくシンプルな生活を提案。近著に『人生の居心地をよくする ちょうどいい暮らし』(青春出版社)がある。
『クロワッサン』970号より
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