フラメンコに興味がない方でも、「女性」である限り、この映画は見る価値がある。私たちが女性として体験してきたことがなんなのか、分かるから。
夫源病という病名があるぐらい、主婦の苦しみは並々ならぬものがあるだろう。年齢が進むにつれ、心身の健康を害するほど。頑固オヤジと化した夫との生活自体ストレスだし、暴言やパワハラもキツイ。独身で働く女性たちもまた、会社や社会でパワハラにあい、苦しんでいる。
結局のところ、日本もいまだ男尊女卑社会であり、女性の苦しみや悲しみは、そこに端を発している。ラ・チャナは世界的フラメンコダンサーでありながら、夫の嫉妬や怒り、家庭内暴力に耐え、その苦しみを「踊り」に昇華させていった。
「踊っているときだけが、自由でいられた」
無心で踊り、リズムと音楽にその身をゆだねる。この時間だけが、「天」と「地」に繋がり、「自分」を取り戻せる、神聖な「場」なのだ。踊りは、浄化、癒しになる。