くらし

こ、これはレベル高すぎ……! トラップだらけの敬語ドリル。あなたは全問正解できる?

つい使いがちな二重敬語。

長年、企業で言葉遣いを教える平井理恵子さんに敬語の大切なツボを解説してもらおう。それは、二重敬語である。

「二重敬語とは一つの語について同じ種類の敬語を二重に使ったものを言います。一見、それらしく聞こえたりもしますが、文法的には誤りで、そして何より美しくありません」  

たとえば、お読みになられる。これは「お読みになる」という尊敬語にさらに「れる」という尊敬語を重ねているので、二重敬語となる。  

ポイントであるのは、「一つの語について」という点だ。では、次の例文はどうだろうか。  

お読みになっていらっしゃる。  

こちらもやや盛り過ぎな雰囲気がなきにしもあらずではあるが……。 「この場合は“読む(お読みになる)”+“いる(いらっしゃる)”の二つの語をそれぞれ敬語にしているので、二重敬語にはなりません。専門的には連結敬語と呼ばれる正しい使い方とされています」  

なるほど、ではあるが、こうしたことを会話の中で瞬時に判断し、口頭にのぼらせなければならないのである。こ、これは、レベルが高過ぎないか……。 「一度仕組みを理解してしまえばあとは慣れですよ。なかなか敬語の仕組みを勉強するというチャンスは今どきないと思いますので、今日はいい機会だと思ってくださいね」  
さて、さて、前ページの「敬語ドリル」の正誤は、おわかりになっただろうか。

問題と回答はこちら。

次の文のうち、正しい表現はどっち?

【問1】
✕ 田中様がお見えになられました。
○ 田中様がお見えになりました。
お見えになられるは二重敬語。お見えになりました、のほかに、お見えです、でもOK。

【問2】
○ 佐藤様をご紹介ください。
✕ 佐藤様をご紹介してください。
「ご紹介して」の部分は尊敬語ではなく謙譲語(「ご〜する」という謙譲語Ⅰ)。 「ご(お)〜する」は謙譲語と覚えてしまおう。 この場合は、「ご紹介ください」が正しい尊敬語。「紹介してください」でもよい。

【問3】
○ 姉にそのように申し伝えます。
✕ 姉にそのようにお伝えします。
この場合の「お伝えする」は謙譲語Ⅰなので、 敬意は伝える先の「姉」に向いてしまって身内を高めることに。 身内に伝えるときは「申し伝える」という表現を覚えておくと便利。

【問4】
✕ お電話が終わられましたら、ご連絡ください。
○ お電話が終わりましたら、ご連絡ください。
主語は「電話」なので、尊敬語は使えない。「終わる」(自動詞)ではなく、 「終える」(他動詞)であれば主語は相手になるので、 「お電話を終えられましたら」という表現が使える。ファミレスなどで耳にする 「ご注文の品はお揃いになりましたか」も同様の間違い。

【問5】
✕ 健康管理が大切なことはよく存じ上げております。
○ 健康管理が大切なことはよく存じております。
「存じ上げる」は謙譲語Ⅰ、「存じる」は謙譲語Ⅱ。この場合は、行為の相手先を高める表現ではないので謙譲語Ⅱが正しい。

ドリル監修:平井理恵子(ひらい・りえこ)ビジネスマナーやコミュニケーション指導の専門家。企業研修講師として20年以上のキャリアをもつ。日本語検定公認講師。Biztrex代表。
診断は、クロワッサン975号の「敬語の難関は謙譲語!? きちんと使えていますか。」をもとに作成。

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