【大宮エリーさんインタビュー】人生面白がればラクになるよって伝えたい。『なんでこうなるのッ?!』
人生面白がればラクになるよって伝えたい。
撮影・中島慶子
テレビのコメンテーター、イベントの企画や出演も手がけ、まさに八面六臂の活躍をしている大宮エリーさん。『サンデー毎日』の連載をまとめたエッセイはこれで3冊めになる。
単行本化にあたり、大幅に加筆、修正、再構成しただけあり、読み応え充分。そこから溢れ出るのは、大宮さんのやさしさと旺盛なサービス精神だ。かつて真剣に結婚を考えた男性と、最終的に別れを決意した時、傷つけまいとキテレツな格好をすることで彼に諦めさせる。占いが当たっていないことに気を遣い、「確かにそんなところもあるかも……」と、占い師の言葉に寄せてあげる。さまざまな苦境に遭ったエピソードを、面白おかしく書き上げている。
「私、やさしいかなぁ? ただすごく自信がないんです、いろんなことに」と、意外な告白が。「打たれ弱くて、理不尽だと思ってもその場で言い返したりできない。でもそれが誰かのためなら言えるんです、それおかしい!って」
何事にも人の役に立てたらいいな、という考えがあるという。
「この本も、私のピンチばかりでなんでこうなるの?!って体験と、それをどんでん返しでどう切り抜け、楽しんだかを一緒に笑ってもらえれば。人生いろいろあるけど、それを笑いに変えたり、面白がっちゃえばラクだよって。ちょっと最近つらいなって思ってる人の役に立てればうれしいな」
笑いだけではない。終盤には、「まつりさんに捧ぐ」と題して、働き方改革の発端ともいえる高橋まつりさんの過労自殺に関する問題も取り上げた。「自分の人生より大事な仕事なんてひとつもない」「会社は絶対じゃない」。大学も会社も同じ経歴を持つ大宮さんだからこそ、理解できること、言っておきたいこと。説得力のある言葉が胸を打つ。
「実際、この面白エッセイの中に入れるかどうかは迷いました。私の弱さなのかもしれないけれど、上司の側にも家族がいると思うと、どちらが悪いという書き方はしたくなかったので」
心に響く一編の後は、ちょっとおかしなサンタクロースに邂逅した脱力エピソードで締めくくられる。その構成力はさすが!
「わかってもらえました?(笑) ミュージシャンでいえばセットリストですよね! 順番って大事ですから、そこは狙いました。最後はやっぱり笑ってもらって」
どこまでもサービス精神旺盛な大宮さんなのだった。
毎日新聞出版 1,300円
『クロワッサン』967号より
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