災害から命を守る視点で、リフォームを考えることも大切。
撮影・谷 尚樹 文・一澤ひらり イラストレーション・タニグチコウイチ
ライフラインを確保する準備を整える。
夜中に地震で停電したら、真っ暗闇の中を逃げなくてはならず、恐怖心でパニックに陥ることに。
「そのとき大きな助けになるのが、停電時に自動点灯してくれる保安灯です。普段はナイトライトとして機能する一体型で、コンセントに差し込んで使いますが、取り外せば懐中電灯になるタイプもあります。避難経路になる廊下や階段と各部屋に1つずつ設置しておくと、いざというときに足元を照らしてくれるので安心です」
ただしコンセント充電式なので、リフォーム計画の段階で廊下などにコンセントの位置を決めておくことが大切、と澁川さん。
「庭がある家ならソーラーライトを設置しておくといいですね。日中太陽光で充電して夜になると自動点灯しますから、停電時でも明かりが灯ります」
東京都防災会議の「東京都における直下地震の被害想定に関する調査報告書」によればライフライン応急復旧の日数は、電気7日、上水道31日、ガス57日となっている。
「大地震が起きたら、ライフラインが完全にストップします。自宅で避難生活を送る場合、水や食料、熱源の備蓄は命綱になります。水の備蓄は大人1日3L目安で7日分は用意しておきたいですね。大人2人なら42Lで、2Lのペットボトル21本分。分散収納するとしても水は重いので、玄関に収納スペースを作るのも手ですね」
さらにキッチンをリフォームするときに地下収納庫や2畳ほどの備蓄棚を兼ねたパントリーを作っておくと重宝する、と澁川さん。
「食品は日ごろから食べ慣れているものを1週間分用意して、食べながら補充していくローリングストック方式で常に食品を循環できるようにしていくといいんです」
住宅用火災警報器10年問題など、自主的な定期点検も大切。
新築住宅は2006年6月以降等、全ての住宅に設置が義務付けられた火災警報器。電池の寿命が10年で、今その交換時期にきているため、突然ピッピッピッと電池切れを知らせる音が鳴り出している家も。これが住宅用火災警報器10年問題。リフォームはこうした防災設備がちゃんと作動するかをチェックするいいきっかけにもなる。
澁川真希(しぶ
『クロワッサン』961号より
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