【器好きのいつもの食卓】料理に手をかけられなくても、好きな器があれば心は満足します。
撮影・徳永 彩
中に盛った食べ物と引き立て合う、 意外な使い方ができる器が楽しい。
イイホシさんの器使いは、固定観念にとらわれない汎用性が鍵。和食用、洋食用と区別せずに、食事もデザートも、組み合わせは自由自在。フルーツやサラダが似合いそうな「クリスタリン」のごく薄手のガラスボウルに刺身を盛り付けたりする。このシリーズは昔ながらの製法で、技術の高い職人が木の型に押し当ててひとつひとつガラスを宙吹きするブロウ成形。のびやかなたたずまいが気持ちいい。
「刺身のパックを買ってきて、つまごとのせかえるだけ。よくやるんです。ガラスの器だと、新鮮ですよね」
同シリーズのガラスボウルのSサイズは、ひとまわり大きい小皿にのせて、アイスクリームや羊羹をひとくちだけサービスするのにもぴったり。
「来客のときなど、ちょっとだけなので気を遣わせずにすみますし、食後のデザートにもちょうどいいですよ」
器ごとに使い方を次々と教えてくれる。盛り付けるものは特別じゃなくても、テーブルはとてもおしゃれだろうと想像できてワクワクする。
「食器なので、いじわるな形はいやなんです。それ自体のデザインとして完成されていてもかっこよすぎるのは苦手で、かといって、ほっこりも好きじゃなくて。すっきりしているけれど、焼き鮭をのせたいなと思ってもらえるような、使うことを想像できるような食器を目指しているんです」
たしかに、清潔感と適度な緊張感を持ちつつ、どこかやさしい手作りの雰囲気をまとうイイホシさんのプロダクト。作り手にそんなふうに言ってもらえたら、力を抜いて、日々の食事を器とともに楽しむことができそうだ。
イイホシユミコさん作の器のお問い合わせはすべてユミコイイホシポーセリン東京店 TEL 03・6433・5466 http://www.y-iihoshi-p.com
イイホシユミコ●器作家。京都嵯峨芸術大学陶芸科卒業後、「ユミコイイホシポーセリン」の名前で作品を発表。2007年よりプロダクトシリーズをスタート。2012年に大阪、2014年に東京に直営店をオープン。
『クロワッサン』959号より。
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